Novel
□初恋の
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沢田綱吉、小学2年の春
「わぁ〜きれい!」
俺は家の近くの公園で一人遊んでいた。
「さくらってホントきれいだなぁ」
久々に、それも一人で見ている桜に興奮した俺は桜の木の下に座り背を預けた。
「ん〜」
俺は背伸びを軽くして、地面に木の棒で桜の絵を描き始めた。
ふと地面に影がうつり頭をあげると黒髪の男の子がいた。
「君、何してるの?」
「えっとね、おえかき!!」
「へぇ、何を描いてるの?」
「さくらがきれいだからさくら!!」
俺が男の子の質問に元気良く答えると男の子は「ぷっ」と笑い
「本物の桜があるから別に描かなくてもいいのに」
「だって、だってね?ホンモノはいつかかれちゃうけど"え"はずっとのこるでしよ!?だから"え"をかくの!?」
今思うと我ながら馬鹿な事をいった。
紙に描いたなら未だしも描いたいたのは地面。
本物よりも早くなくなってしまうのに…
今思うと笑ってしまう。
確かあの男の子にも「地面に描いてたら残らないよ」とツッコまれたのを覚えてる。
「キミ、面白いね?群れるのはきらいだけど、キミは"とくべつ"にゆるしてあげるよ」
「?ありがとう、お兄ちゃん!!(もの凄い笑顔)」
よくわからなかったが俺は笑いながら相手に返事をした。
「//(かわいい)キミ、名前は?」
「ぼくはつなよし!」
「そう。僕はきょうやだよ」
「きょーや?」
「ちがう。きょうや」
「きょーや!」
「はぁ。今はそれでいいよ。つなよし。キミ、家はこの近く?」
名前で呼ばれて俺は嬉しい気持ちになり頷くと「そっか」と男の子、もとい『きょうや』はいった。
「じゃあまた会えるね」
『きょうや』はそういうと俺の額にキスをした。
「?」
「また会えるおまじない。また会おうね、つなよし」
「うん!またねきょーや」
俺たちはまた会う約束をして、家に帰った。
今更ながらにあれは初恋だったなと、心のなかで思う。