黒アリスを追って

 海や風の力を持つ青年はある日
「兵器・黒アリス」と名乗る
少女と出会います。
彼女の残して行った「矛盾」や
「謎」の向こうに何かを感じた
青年は彼女を守るために
共に彼女を作ったという
科学者に会いに行くのですが…
◆1 「黒アリス」12 

「ようやくボロをだしたな」
「!!?」
「黒アリス本人であれば
『嘘でしょ―』ではなく
『そんなはずは―』と言う筈」
「う…」

2010/06/03(Thu) 09:32 

◆1 「黒アリス」11 

 俺は少女を驚かせないために
単刀直入には言わず、
ほのめかしてから言った。
俺が事件当時村の近くにいたと
伝えた所でようやく
気づいたようだ
「…! まさか…」
「そう… 黒アリスを実際に
見たことがある」
「嘘でしょ!?だって
黒アリスは人体実験に使う人
以外は皆殺して、
殺さなかった人は実験で
殺されていくのよ!?」

2010/06/03(Thu) 08:34 

◆1 「黒アリス」10 

「どうして…
そう 断言できるの?」
俺は答えることをためらった。
彼女が怯えると思ったから…
「…ただのハッタリだったのね」
「…何とでも どうぞ。
知らない方がいいという事も…
あるから」
「何よそれ!?私を
馬鹿にしているの!!?
私は子供じゃないのよ!!」
「…そうか 君がそう
言うのであれば話そう」

2010/06/02(Wed) 11:47 

◆1 「黒アリス」9 

 少女は俺が怯えない事に
驚いた様子だった。
「私が… 怖くないの?」
「ああ… 君は…
黒アリスじゃないから…」
「え? どういう事!?」
少女の目は右へ左へ動き
動揺を隠せない様子だった。
「君がもし本物の黒アリスなら…
俺を覚えているはずだ。
でも君は俺を知ってすら…
いなかった」

2010/06/02(Wed) 11:20 

◆1 「黒アリス」8 

 俺は静かに答えた
「他のはそうだが…
行方不明者の方は…
知ってはいるが、
知り合いと言う関係ではない」
「そうだったの…」
「そういう君は?
この村の者では無い様だが…」
「私は…『黒アリス』
博士に作られた… 兵器」
「…嘘だろ?」

2010/06/02(Wed) 10:30 

◆1 「黒アリス」7 

 「その人… ひょっとして
…貴方の大切な人?」
雪の様に俺の元にそっと降った
声にはっとして後ろを見上げると
黒服の少女が慰霊碑を
覗き込んでいた。
…いや、本当は俺の顔と
慰霊碑のどっちを
覗き込んでいたのかは
俺には分からないのだが…

2010/06/01(Tue) 10:20 

◆1 「黒アリス」6 

 ………………………………
過去の事を思い出している間に、
俺は自分の村に着いた。
 …正確には 村だった場所だが

 …草に埋もれてきた瓦礫
 だいぶ薄くなってきた焦げ跡
 花束の供えられた慰霊碑…
  …そして………
 行方不明者として刻まれた…
 ……俺の名前………

2010/06/01(Tue) 08:33 

◆1 「黒アリス」5 5年前の記憶4 

 光の中で俺は…
不思議な体験をした…
流れ込んでは自分と混ざり合って
溶け込んでいく大量の水…
最初は普通に水に飛び込んだ時と
同じように冷たかったのに
溶け込んだ水はあっという間に
その感覚がなくなる…
そして全ての水の感覚が無くなり
代わりに日の光の当たる感覚を
感じた時… 俺が目をあけると…

2010/05/28(Fri) 12:12 

◆1 「黒アリス」4 5年前の記憶3 

 行き止まりと分かって
俺が引き返そうとした時だった…
不思議な声が聞こえた…
「私は… …ロ…ア…ス… そう…
呼ば…て… いる…
…願い… 私の… 代わ…に…
……を 止めて…」
俺がうなずくと 洞窟内の
いたる所にあった小さな
水の結晶と目の前の海の結晶が
まばゆい光を放ち、その光が
俺を包み込んでいった…

2010/05/28(Fri) 10:33 

◆1 「黒アリス」3 5年前の記憶2 

 まだ子供だった俺は
突然のことに戸惑っていた。
俺は母親譲りだがまだ微弱な
風の力で洞窟の内部の様子を
確かめながら出口を探した…
 ふと不思議な光を見つけた俺は
光のもとへ駆け寄った…
しかしそこにあったのは、
出口ではなく、不思議な力で
外海の海水をせき止めていた
海の力を宿した結晶の光だった…

2010/05/28(Fri) 09:35 

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