-Lifily-〜CLANNAD×Fate〜

□再会−背負った宿命
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「久しぶりじゃない。誡」

その声で、思い出した。
彼女の名も…その時のことも少しずつ。

「ああ…久しぶり、杏」

藤林杏。
あの時、俺に感情というものを教えてくれた人。

「覚えてたのか」

「トーゼン。あんな無愛想な男なんて忘れられないわよ。相変わらず無表情なのね」

「背はお前より高くなったけどな」

「それは男の子なんだからトーゼンでしょ。それと、年上の女の子にそんな口調するなって言わなかったっけ〜?」

んん〜?って感じで覗き込んでくる。
…なんか、昔よりトゲがあるなぁ……

「それはそうと、なんであんた濡れた傘なんて持ってんのよ」

「え?…ああ」

そうか、こっちに来る前は雨だったからなぁ…
因みにこっちは晴れている。…のに冬のように寒い。

「なぁ、今何月何日だ?」

「はぁ?何言ってんのアンタ」

「今日は何月何日だって聞いてるんだよ」

「………」

「そんな哀れむような目で見るな」

「………バカ?」

「真面目に聞いてるんだ、真面目に答えろよ」

「2月2日よ」

「あっそ………あん?!」

ちょっと待て、元いた時より何ヶ月もずれてるだろ!

「何?そんなに驚くこと?」

「い、いや…」

と、とにかく平静でいよう…

「………」

う…あれは悪魔の笑み…

「ねぇ誡ぃ〜、なにを隠してるのかなぁ〜」

…そしてこの猫なで声。

「お姉さんに全部教えなさ〜い。じゃないと目ん玉くりぬいて鼻につめるわよ〜♪」

目がマジだ…ここは正直に話すか…
いや、隠し通そう。そもそも俺自身まだ整理がつきかねているんだ。

「姐さん、失礼しまっす!!!」

満身の力でダッシュ!

「ちょ、待ちなさ〜〜〜いっ!」

殺気!?
本能的に横っ飛びをすると…
ビュゴオッ!

「!?」

「チ…はずしたわね…」

辞書かよっ!?しかもあたった地面抉れてるし!
…絶対的命題的使命的逃走開始。

「コラぁ〜〜〜〜っ!!待ちなさ〜〜〜いっ!!」

んなこと言われてはいそうですかって止まるかっての!

………

「ぜー、はー…」

つ、疲れた…
てかなんでこんなに必死逃げてんだ俺…
…一旦状況を整理しよう

「地図でも探すか…」

多分光坂とでも書いてあるだろ…

………

「…冬木市?」

口からあからさまに怪訝な声が出る。
そりゃ当たり前だ。冬木市って言ったらCLANNADじゃなくてFateの世界だ。

「走ってる間にまた別の世界に来た…とは考えにくいよな…」

となると…
少なくともここは俺がいた世界じゃない。
で、この世界には彼女…藤林杏がいた。しかもゲームデザインによく似てる。
そして掲示板には冬木市…と。
…信じがたいが、ここはCLANNADとFateが混合された世界って訳だ。

「痛っ…」

…なんだ?

「左目が…痛ぇ…?」

…杏と会った時からだ。左目が脈打つように苦しくて…おまけ…に……

「ぐ…あ…」

体が熱い。思わずうずくまって目を剥くと…

「ア……ヅッ!?」

脳が痛い頭が頭が左目からなんか文字やら入って来ておかしい世界がゆがむ…っ

「ほら見つけた…ってちょっと誡!?どうしたの?」

杏の声…でも答えられない…左目を抑えるだけで精一杯だ…

「!?どうしたんだ?その人」

「あ、ちょっとアンタ、手伝って!こいつが大変なの!」

「な…なんだこの……いや、とにかく連れて行こう!」

「誡!ちょっと、しっかりしなさいよ!」

「――――――!、――――――!」

「――――――――」

もう…限界。
そこで、俺の意識は途切れた――
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