-Lifily-〜CLANNAD×Fate〜
□旅路―なぞられる歪んだ道
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「…んあ」
目覚めたのは部屋の中だった。
「…」
とりあえず現状把握。
昨日は確か、普通に家を出てから変なトンネル見つけて、杏に…
「!!」
呑気に思い出してる場合じゃねえ…杏はどこにっ…!
「グッ…」
チィ、頭が割れるようだ…インフルにかかった時みたいだぞ、これ…
とにかく部屋から出ないと…
ガチャッ
「あ、起きたの?」
…俺の杞憂はどこへやら、俺が手を伸ばした瞬間にドアは勢いよく開き、捜し求めていた彼女が目の前に現れていた。
「…」
とりあえず寝起きは最悪である。昔っから朝に極端に弱い上にインフル並の頭痛に加えていきなり杏のことで色々考えたせいでああもうこれは今日一日最悪ですな日になること請け合いだろうなという感じである。
「その無愛想なら問題なさそうね」
…前言撤回である。
明るく見えた杏の顔は無理してることなんて一発でわかったし、ここは床が畳。おまけに俺が寝ていたであろう布団の隣りには士郎が寝かされていた。
「な… 古河の、家か」
「へ…?」
驚いたように俺を見る杏。そうか、確か杏には俺がこの付近の住人の個人情報を掌握していることを伝えてなかったな…
「…」
…もうこの家族まで巻き込んだ。いとも簡単に人の信念なんて挫けさせてしまえるのだ。運命って物は。
「あんた、なんで渚のこと知ってんのよ…」
「…」
ゲームで、なんて言ったらこいつはまず信じない。裏があると見て俺に拷問(R21)を仕掛けてくるに違いない。
…なんて言ってる暇があるか、馬鹿。
いい加減自分の思考に腹が立つ。冷静に先のことまで見えるのはまあまあいいことなのだろうけどこの楽観的思考はどうにかしてほしい。
「…実はな」
………
「そーなんだ…」
とりあえず話してみた。
思いのほか納得してくれているようだ。
…それとも、昨日のあれのショックもあるのだろうか。
「まあ、な…」
「う、ん…」
と、士郎が眼を覚ましたようだ。
「あれ…?」
いきなりの違和感に眼を丸くしている様子である。
「気は確かか」
寝起きにこの言葉をかけるのもあれだが、あの惨劇から回復した奴にかける言葉は俺にはそれぐらいしか思いつかない。
「…え、あ!」
はっとなったように立ち上がろうとする士郎。が…
「うえ…」
轟沈。
「…大丈夫か」
「ああ…」
なんとか平静を装っているようだけどこっちも無理しているのは明らかである。
さて…
「セイバーはどこにいる?」
当事者を全員集める。
「あの後何があったのか、教えてくれ」
あの惨劇。
思い出させたくは無いが、あの後の出来事を知るにはそれ以外無い。
「…」
少しためらいがちに顔を伏せた後杏は、
「…わかったわ」
小さく頷いた。