転生の学園

□放課後保健室
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放課後の保健室そこに二つの影あり





放課後保健室







運動部ならまだ部活を行っている時間帯
委員会や各自の用事をしている人もいるだろう
潮江文次郎もそうであった

ただ今日は委員会のほうはなく自主練として
一般の生徒は立ち入り禁止の裏山に出ていたのだ
では何故生徒の彼が入れるか
それは彼が一般の生徒ではないからである

彼は、普通ではありえないものを持っていた

前世の記憶である


彼は忍として生きていた前世の記憶を持っているのである
別に彼だけが持っているのではない
この学園そうゆう生徒が多く集まっている
みんなこの学園に何故か引き寄せられるのである

なので、記憶所持者のものは裏山に行く権利があるのだ


さて、裏山にいたはずの文次郎は今学園の保健室にいる
左腕には文次郎の前にいる保健委員が手当てしたものであろう

手当てが終了したからお暇しようと思ったところ
いきなり保健委員が泣き出した
彼女は、手当てがし終えると緊張の糸が切れたかのように
そのやや大きめの猫目からぽろぽろと涙をあふれさしたのだ
文次郎には彼女…善法寺伊咲を放っておくことなんて

できるはずがなかった


「伊咲…どうした」

「…」


さっきからこの調子である
問いかけても言葉は返ってこない
ただ涙がどんどんあふれてくるだけだった


「……った」

「?」

「よかった…」

「何がだ?」

よかった?
なにがよかったんだ?



「ゆ…夢をみたんだ」

そういう伊咲の身体は少し震えていた



「昔のね…」


昔とは伊咲が伊作として生きていた時の事だろう

いつ自分達が死んでもおかしくなかったあの時代…
その時の夢を見たということだろう




「そうか」

「さっき…ちょっとうたた寝してたんだ…そしたら君が怪我をする夢を見たんだ…」

「…」


ある意味予知夢というものであろう
ほんとに昔からこいつは…


「そしたら怪我をした君がやってきたから…」

「そうか…悪かったな…伊咲」

「ううん…僕が勝手に泣いちゃっただけだし…でもよかった…もんじが無事で」



昔から自分のことより他人のことを心配する
超がつくほどのお人よし
いつも俺のことを思ってくれる…


「心配ない。この時代だしな…それに俺はお前に黙っていなくなるような事は絶対にしない」


あぁ…絶対にするはずがないいんだ

伊作が伊咲として生まれ
俺と出会って
また隣にいてくれている


だからこいつの…伊作の隣は誰にも譲らない


「文次郎…僕も絶対にいなくならないよ」

「あぁ」

「だって神様が文次郎の隣にいられるようにしてくれたんだからね」


ほんとこいつは…
いつもいつも俺の予想外のことをしてくれる

「あぁ…そうだな…」





放課後の保健室夕日に照らされた

二人の優しげな一つの影




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