長編2
□BlueMoon4
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そこまで思い出して、デューイは深くため息をついた。
「どうした?」
「いえ…あの現場のことを思い出しまして」
実は、デューイは事件の現場となった場所を見てはいない。
イルスがほぼ現行犯のような扱いで捕らえられた日、デューイは少し気分が悪く、自宅で休んでいた。
報せを聞いて慌てて駆け付けた時には、もう既にあの現場は灰と化していたのだ。
「確かに、あの場は酷いもんだったさ」
アイツがやったとは思わないが、とコウギは続ける。
「あの。その…遺体はなかったんですよね?」
「ああ。血やら肉片ならが飛び散ってただけで、骸はなかった」
残るは、部屋一面に飛び散った血と、もとは人の一部であっただろう肉片のみ。
まるで何か大きな力が加わって、形すら残らずに殺されてしまったかのように。
もし本当なら、何とも惨たらしい、おぞましい事件だ。
目を背けたくなるような惨状だったとあの場を見た人々は口を揃えて言う。
コウギ自身も「胸糞悪い」と評した。
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