長編2
□BlueMoon4
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しかし。
その現場も、コウギが少し離れた隙に火を付けられ、建物ごと全焼してしまった。
詳しく調べる前に、だ。
火を付けたのは、自衛団の一員の、まだ若い男だった。
彼は現場を一目見たときから、これは闇の魔法を使ったものだと信じて疑わなかったらしい。
このような残忍な手段は、伝え聞いたことのある、「闇の魔法」以外有り得ない。
闇の魔法を使った痕跡を早く消してしまわないと、闇が闇を呼ぶ。
だから、現場を見た際、魔法の痕跡を消さなければと、とっさにパニックになって火をつけてしまったのだという。
早くしなければ、闇が闇を呼んでさらなる被害が起こる…と。
その彼は謹慎を命じられ、今は随分と落ち着いた。早まったことをしたと反省もしている。
けれど、灰になってしまった現場はもとに戻らない。
その上、街の役人をも含め、多くの者たちが闇の魔法が使われたなどと信じてしまった。
よって、イルスが犯人であると信じて疑わなかったのだ。
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