長編2
□BlueMoon4
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「髪が黒いだけなのに」
デューイがぽつりと呟いた言葉は、どうやらコウギの耳に届いたようだ。
「この国では、属性を信じる人が多いからな」
他国であるデューイがとこの国の信仰にとやかく言う権利はない。
イルスは髪が黒く、瞳も黒に近い濃緑。
だからそんな色彩を持つ人物は闇の属性。
だから、闇の魔法が使われたのなら、それはイルスが犯人に違いない。
例え本人が、自分が着いた時には既に血の海だったと主張しても信じてはもらえない。
まるで、祖父母に聞いたことがある、昔ダイレンで行われた魔女狩りのようだとデューイは思った。
当時、多くの女性が謂われのない罪を着せられ、魔女として処刑された。
それは、怪しげな儀式を行ったなどが理由の場合もあったが、単に容姿が優れていたことが嫉まれた場合もあった。
数十年経ってから人々が冷静さを取り戻し、やっと禁止令が出たものの、その間にいったいどれほどの命が失われたことか。
信仰ゆえの過ち。
ダイレンの庶民の間では、もう既に宗教に対する信仰は随分と薄れてしまったため、デューイはあまりそういった側面を感じたことはなかった。
アストリアでは、今もなお、信仰が人々の心を捕らえているのだろうか。
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