story

□見えない未来へ
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今日は金曜日。

毎週飛影は会社勤めの蔵馬の休暇に合わせて人間界に来る。


ここのところ残業続きで毎晩遅かった。

久しぶりに早く帰れたこの日、これから訪れるであろう彼を思うと、心踊る気持ちを抑え切れない――


“夕飯は何しようかな?”

こういう時は通常より、時計の針が時を刻むペースを遅く感じる。


まるで時間の空間が捩曲がってしまったかのように、今自分がいる地点を不安定に感じる。

まだか―

まだか――


蔵馬の期待に反して、いつもなら彼がいるであろう時間になっても、依然として蔵馬は孤独な空間にいる。


“遅いなぁ…。ご飯冷めちゃった”


いつも彼を笑顔で迎えようと準備している。

飛影といる時間は全力投球で彼に愛を捧げたいから―

しかし、どうも溜まっていた疲労は蔵馬が思っていたより大きかったらしい。


“ひ、えい……”


時間潰しにと読んでいた本が手から落ちる。

蔵馬は未だ姿を見せる気配がない飛影を記憶の中に見ながら、眠りの中に入ってしまった。
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