ザブハク

□2.
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「は…く…」


噛み締めるように、与えられた名前を呟けば、貴方は満足そうに口元を歪めた。貴方が求めているのが、僕ではなく僕という武器だと知ってからも、僕は貴方への想いに嘘を吐き続けた。


恋じゃない、愛じゃない、ただの憧れで、あの人はただの恩人だから―――だから、僕は心を捨てて、貴方への恩返しに強くなることを決めた。



「…白、こっちに来い」


真っ白な雪が降り注ぐ冬の夜。寒さを凌ぐために隠れ家がわりの空き家に、二人毛布に丸まりながら暖をとる。そんな最中、貴方の優しい声は僕を呼ぶんだ。


「なんですか、再不斬さん」


頬が染まらないよう意識して、小さく笑いかけながら貴方の傍へとゆっくり寄れば、貴方はソッと僕の肩を抱き寄せた。


「……今日は、冷えるな。それだけだ。」


ぶっきらぼうに言い放ち顔を背ける貴方。貴方の腕が僕に触れてる…それだけでも死んでしまえるほど嬉しい。


……いつからこんなに女々しくなったんだろう。あの村にいた頃にはこんな感情はもっていなかった筈なのに。貴方に出会って全て変わったんだ。



―――再不斬さん、愛してます、

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