†七色幻想
□足りないトランプ
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好きな人がいるんだ。
大切な人、なんだ。
…想いが通じあったのに、アイツの口から出るのは違う名前ばかり。アイツがやりたいって言うから、ルールを聞きながら指し始めた将棋も、アイツが食べたいって言うから一緒に言った焼肉屋も…。
「ったく、めんどくせーな。アスマならさっさと指せるっつーのに」
「おいおい、まだ食うのか?アスマならそんなに食わなかったのにな…」
なんで、俺を見てくれないの?
お前がアスマを好きだったのくらい知ってる。俺はその頃からお前を見てきた。でも、お前は俺を受け入れてくれたんじゃないのかよ――――
「…なあ、シカマル…」
「あ?」
「アスマ…の名前ばっか出すなよ」
「…なんで、だよ」
「……ヤキモチ。シカマルの口から、昔の好きなやつの名前なんか聞きたくない。それに、俺はアスマじゃねぇ!!」
そう言って、俺が呼吸を整えれば、お前は涙を浮かべながら笑い始めた。
「そんなに俺が好きか?キバ。」
「あ…当たり前だろっ…」
「…アスマへの"好き"はお前への"好き"と違う。憧れからの"好き"だったんだ。大丈夫だよキバ。めんどくせーほど、お前のこと好きだから」
―――殺し文句は、殺せない
殺されるのは、俺の理性と、
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END