After the Rain

□第八話
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「あっ、裕翔!」




「圭人っ」





圭人は風邪の僕を気遣ってか駅にきてくれた。





「風邪大丈夫?」



「うんっ!大丈夫だって」




圭人がくれた温かいココアを飲みながら撮影場所に向かった。









「あ…裕翔、」




撮影場所についてすぐ伊野ちゃんに呼ばれた。
伊野ちゃんについていくとそこは入ったことないような倉庫だった。






「伊野…ちゃん?」




「裕翔…、ごめん…。告白…のこと…」






やっぱり。
やっぱり伊野ちゃんはそれを気にいていたんだ。





「うぅん。大丈夫だって」




「俺…ね、裕翔のこと好きだよ。」






どくんっ。
また大きく心臓が跳ねた。






「ただ…裕翔と付き合うことはできない」




「………なんで?」




「それは――――…言えないんだけど…」




とにかく裕翔のことは好きだからと念を押された。





「裕翔は優しいしかっこいいし…絶対いい恋人できるから…」



「僕は…僕は、伊野ちゃんがっ…」




「俺さ、薮と付き合おうと思って。」





心臓がなにかにぶち抜かれたような感覚。

銃弾が思い切り貫通したようなそんな感覚。







「や、ぶくん…?」



「うん…、前から言われてたって言うのもあるし」




あぁ。これって完全的な失恋ってやつなのかな。







「伊野ちゃん…薮君のこと好きなの…?」






「………好きだよ」







伊野ちゃん…。
伊野ちゃんがそれでいいのなら僕は応援する。





だけど……本当に薮くんが好きなのだと思えなかった。
それは負け惜しみとかじゃなくて。
















『好き』と言った嘘つきの瞳が泣いていたから。











*********第八話end
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