イベント*企画

□HappyValentine
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薮光






寒いと思ったら雪が降っている。
粉雪からやがては粒は大きくなっていく。

抱える箱に力が入る。
リボンで結ばれたその箱は少し歪んだ。






「光、ごめん遅くなっちゃって」




「まじおそーい」




「ごめんごめん、雪で電車止まっちゃったの」





薮を見てみれば頭や肩に雪が積もっていて顔も真っ赤だった。
どうやら走ってきてくれたらしい。





「薮…びしょびしょ」




「だって光待ってるだろうなって思ったから。」




そう言って笑いながらマフラーを外す。
マフラーから雪がぱさりと地面に落ちた。






「じゃあ、行こうか。」



「あっ…待って」




「ん?」





振り向いた薮に抱き着いた。
大通りに面したカフェの前で。でも羞恥とかは不思議となかった。


薮は雪に濡れていたけどすごくすごく温かかった。
頭をすっと撫でてくれた左手は下に移動して俺の右手を優しく包んだ。







「ふふっ、可愛い。入ろう?風邪引いちゃうから」




「薮が?」




「俺も、光もね。」






大丈夫。
薮あったかいから風邪なんかひかないよ。







「薮、これ。」




「おっ、ありがとう光。」









すごく温かいから







チョコレートも溶けちゃうかもね。














end。

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