イベント*企画

□Bon anniversaire!
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正直3月に入ってからソワソワしてた。
俺が。

いつも素っ気なくしてるもんだから誕生日おめでとー!なんて素直に言えるわけないんだよ。

だけどまぁ、好きだから。






「高木」



「んー?」




「えっと…いや、なんでもない」




「えー。このやり取り何回目だと思ってるのー」



「うるせっ、なんでもないったらなんでもないんだよ」





我ながら大人気ないんだと思う。
高木が言うようにこのやり取り3回はしてるし。

素直に誕生日おめでとうが言えたなら、それでいいのに。



あと6時間で終わってしまう高木の20回目の誕生日。
朝からの仕事だから絶対言えるなんて思ってたのに。







「じゃあ、俺帰るね。」



そう言ってみんなから貰ったプレゼントが入ったバックを肩にかけた。



「あっ…高木…っ」




「ん、なにー?」




「いや…なんでもない」



「またー?まぁいっか。じゃあね、有岡君」




「…うん」





パタンと閉まったドアが俺を嘲笑う。

結局、プレゼントもおめでとうもあげられなかった。






「あれ、大ちゃん。まだ居たんだ?高木帰ったからてっきり一緒だと思ってた」




「光くん…」




「あー…その様子じゃあ…プレゼント渡せなかった?」




「……光くんのせいだからねっ」





昨日。
プレゼントが決まらなくて光君に相談をした。

それで返ってきたコメントが、







――――手作りでなんか作っちゃえばー?









だったのだ。

時間もなく焦っていたからお母さんの料理本引っ張り出してケーキを作ってみたのだ。









「えーいいアドバイスだったでしょ」




「やだよー…恥ずかしくなっちゃって…」







だって手作りケーキなんてなんか彼女みたいじゃんか。

じ、実際…そうなんだろうけど。








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