My Everything
□第三話
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よく、愛する人との出会いは偶然でなく必然である。
そう唄う曲や本は数えきれないほど見た。
運命の出会い、なんて思春期の少女かなんかが思う非現実的な妄想だ。
運命の出会いなどない。
永遠に朽ちない愛など存在しない。
好き、と実感したら負け。
好きになったら傷つく。
好きになったら、壊れやすく脆い硝子のようになる。
だから俺は違う。
違う、違う違う違う。
違う…
「光、顔色悪いな?」
「そうか?」
「真っ青だぞ、具合悪いのか?」
薮に言われて気付く。
ああ、最近寝ていなかったっけ。
寝ようとするたび薮を考えてしまう。
瞼を閉じるたび、笑顔を思い出してしまう。
自覚したら負け。
安っぽい少女漫画のようにすぐにハッピーエンドだなんていくはずないから。
バッドエンドしか描かれない物語。
「やっぱり、するのはやめよう。」
「や…やだ…!」
「やだじゃない、とりあえず俺ん家まで行って寝ろ。御粥くらい作ってやっから。」
あ、まだ一緒にいられるんだ。
そう思うとほっとした。
少し、安心した次の瞬間視界が暗くなった。
ぼやけた視界の片隅、沈みかけた夕陽が笑ったように見えた。
。