My Everything

□最終話前半
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薮に連れられて小さなカフェにきた、大貴に薮を紹介されたカフェ。
頼んだアイスコーヒーとミルクレープは美味しい。
もさもさ食べていると薮はりすみたいだと笑ったから薮のかぼちゃケーキにストローを刺してやった。
うわっなにすんだよという薮の情けない声にけらけら笑うと薮も笑った。


「薮…、ひかる…」



ストローの刺さったケーキのさきをみると眉を顰めた大貴が突っ立っていた。
瞳がふるふる揺れていた。



「大貴…?」



「ごめんなさい…ごめんなさい光」




泣きそうな顔をした大貴が俺の前の席に座っていきなり謝ってきた。
なにがなんだか分からなくて薮を見ると少し複雑そうに瞬きをした。




「俺…光に酷いこと…」


「え、な…分からないんだけどー…」



「俺が薮を利用して光を傷つけたんだ…っ」



「へ、えっと…やぶ?」




薮はまた瞬きをしてから口を開いた。




「初め大貴に言われて光を抱いたんだ、大貴に自分と同じ目に遭わせろっていわれて」



「同じ、目」



「光を俺に惚れさせて一番傷くやり方で捨てろって」



「そんな…」




ということは自分は捨てられるのか…。
昨日のすきは嘘だったのか、途端に涙がじわりと浮かんでそのまま大貴を睨み付けた。



「…分かった、いいよもう」



俺は席から離れトイレにいってくると言って、店からでた。

馬鹿みたい。
騙されて引っ掛かって。恥ずかしい。
もしかしたら大貴と薮は付き合っているのかもしれない。
大貴を酷く振った俺をそれで騙して。
仕方ない、自分が悪い。
足はゆっくり、動き始めた。











逃避行に足を向ける










最終話前半終了。
後半へ。

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