過去文倉庫

□Bambino...
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多分もう病気化しているんだと思う。

それは誰のせいではないし、治るかって言われても絶対治らないと思うし。



だってこの病気は山ちゃんが好きじゃなくならないと治らないのだと思うから。







「ね、涼介!」




「うん、そーだね」






ちぃが山ちゃんのこと好きなのは知ってる。
でもそれは友達としてだってことも知ってるはす。






「涼介、一緒に帰ろっ」



「お…おぅ、いいよ」






断らない優しさが山ちゃんのいい所の一つだってこと、僕が一番知ってるはずなのに。

どうしてかな。



今日は苛々しちゃうよ。






「あ、ちぃさっき薮くんが探してたよ?」




「うそっ、じゃ行って来るね」






そう言ってちぃの小さな背中がドアの外に消えてった。







山ちゃんといえば僕が苛々しているのが分かったのか少しおどおどしながらチラチラこちらを覗いている。



「山ちゃん、」




「な、に?」




「こっち、おいで」





僕が座っているソファに呼ぶとちょこちょけと歩いてきた。






「ねぇ…、僕がなんで苛々してるか分かる?」




「ち、知念と一緒に帰る約束しちゃった……から?」





「それもそうだけど、」






“気に食わないの”







耳元で言うとびくんと身体を震わせた。
ホント、可愛い反応してくれるよね。






「気に食わないの」




「だ…だって、ぇ」





「あー…思い出しちゃった」





思い出しちゃった、っていうのは、ま〜えのコンサートのこと。

ちぃが山ちゃんのほっぺにキスしてたやつ。
しかも山ちゃんもちぃのほっぺにキスしかえしたんだよね。



過去のこと持ち出すのって卑怯だなんてのは十分承知だけど、思い出したらさらに苛々してきちゃったよ。






「思い出しちゃったって…?」




「ほらいつだかのコンサートでちぃにキスしてたじゃない。」





「へ…?えぇっとぉ…うーん…」






あ…覚えていないんだね。






「覚えてないんだ。そうだよね、山ちゃんにとってキスの一つや二つどうってことないもんね。」



「な…、ち、違っ…!」



「だって山ちゃんは誰とでもキスするんでしょ。」




「しないからっ」






山ちゃんごめんね。
そんなの分かっているんだよ。

でも、僕悪趣味みたい。山ちゃんを苛めたくてしょうがないの。








「浮気しぃだね山ちゃんは」



「違うから!」




「お仕置き、しなくっちゃ、ね?」



「や、やだ…っ」






「嫌?嘘ついちゃダメでしょう?やらしい山ちゃんはお仕置き大好きじゃん」




「な…ちがう、し」





「いっぱい苛めてあげるから、ね?」










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