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□ポストカード
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「光、待った?」
「いや、そんな待ってませんよ」
高木さんはよかったと言って俺の隣りに座った。俺は高木さんに買ってもらった珈琲を一口啜った。
「高木さん、俺やっぱり大貴のこと諦められませんっ」
「やっぱりね。」
高木さんにはあれからずっと相談にのってもらっている。
その全てが大貴のことだけれど高木さんはちゃんと聞いてくれるんだ。
「てか…俺めっちゃ重いっすよね、」
「んー、一途でいいんじゃないの?」
一途…。
俺はそんな綺麗な人間じゃない。
一途なんて綺麗な言葉じゃない、ただ俺は大貴に依存しているだけ。
決して叶わないと分かっていながら俺はずっと大貴を想っている、ただの馬鹿なんだ。
「まぁそんな暗い顔しないで。今日は1日付き合ってやるからさ。」
「ありがとうございます…」
「ほら、行こう?」
高木さんはまたあの時みたいに俺の手を引いた。あの時と変わらないすごく温かい。
思わずしがみついたあの時を思い出して顔が熱くなる。
高木さんが色々話しているけれど俺はその心地良い体温を感じながらギュッと手に力を入れた。
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