過去文倉庫

□悪ノリは時に幸せへと繋がる
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※まだ恋人同士ではありません。













「ふぁ…、」




「なに、眠くなった?」



「んー眠いかも…」





やっぱり伊野尾誘った俺が悪かった。
暇だーって言っていたから家で映画見ようって誘った。

ただ…3時間半の字幕映画は飽きっぽい伊野尾には退屈なものにすぎなかったらしい。




「んん…薮、つまんない」




「ちゃんと見てりゃ面白いっしょ」




「んーんー…主人公すら分かんない。ジョン?マイケル?ピーター?」




どうやら本格的に飽きはじまったらしい。
駄々捏ねながら俺の髪の毛を引っ張ってる。






「痛いんだけどー」




「いいじゃん。俺痛くないよ」




「お前それ我が儘にもほどがあんだろー」




「うるさいー、薮はげろーはげろー」




「うわっやめろ」





ぐしゃぐしゃに髪を弄る伊野尾。
ホントこうなるとガキみたいになる。







「ほぉらお前も映画みろって」




「だってー…これどんな映画なんだし」




「知らねぇよ、タイトルだけで借りてきたんだから」





この間仕事帰りに借りたDVD。
なんだか分かんないけどタイトルがかっこよかったから借りた。









映画は外国のもので青春ものらしい。
主人公は今学校で授業を受けている。






「ふぁあ」




「ほら見てろよ」




「んー…」





只今夜中の1時半。
伊野尾の瞼は今にも閉じそう。





しかし眠りかけた伊野尾も大きな声で起きた。





「は、」




何故か映画のなかで主人公が喘いでいる。
友達のジョニーだかジャックだかとそういう行為をしている。

いやいやうん。
主人公は男だ。確かマイケル…マイケルだ。



俺はとんでもない映画を借りてしまったらしい。しかもそれを親友の伊野尾と見ているなんて…。



この映画は所謂R付きの映画だろう。
露骨すぎる映像に羞恥を覚えた。






「やぶ……」




「な、に?」




「ちゅーしてる」




「へ…?あ…あぁそうだな」





伊野尾はじぃっと画面を見つめている。
俺は恥ずかしくて目を逸らしているというのに。




「ねぇ、やぶ」




「ん?」





「あれさ、俺らでもできるんかな」






伊野尾は画面を指差す。そこにはしている最中であろうマイケルとその友人ジョニーの姿。






「は?」





「だからああゆうの俺らでもできるんかなっていったんだよ」




「な、ななな…なにいって」




「試して…みない?」





ニヤリと笑った伊野尾。これは夜中テンションという恐しいものが引き起こした悪ノリだ。

こんな悪ノリは絶対よくない。
聞かなかったことにしよう。





「なにいってんだよ、伊野尾」




「だってあの人気持ち良さそうだしなんか簡単そうだと思わねぇ?」




伊野尾はどうしてもあの映画のように自分もしてみたいらしい。

それも俺を巻き込んで。





「あれはー、あれだ。2人とも愛し合ってるからー…」




「そんなんいいのっやってみようよ」





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