合作るぅむ
□HEAVEN
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「裕翔こっち」
「うん」
楽屋のソファ。
いつしか山ちゃんの隣りは僕の定位置になり、心地良い距離感を噛み締めるように僕は山ちゃんに微笑むんだ。
がやがや騒がしい楽屋の中で僕らだけの空間がある、ような曖昧だけど温かいこの時間が僕は好きだった。
「裕翔、食べる?」
「うん、ありがと」
山ちゃんからもらったミント風味のガムを口に入れる。
スーッと口が寒くなったみたいなキシリトールとミントの香りがうとうとしていた僕を呼び起こした。
「んー、今日早く帰れるらしいよね」
「あれ?そーなの?」
「あー裕翔スタッフさんの話聞いてなかったんだろーっ」
「だって眠かったんだもんっ」
ありゃりゃって笑う山ちゃん。
目がちょっと細くなって口を緩ませて笑う、そんな山ちゃんの表情が一番好き。
何も隠してないみたいなそんな山ちゃんの顔が好き。
「だから今日は6時には帰れるらしいよ?」
「マジで!?やったっ!」
「うん、そんでさ明日土曜だし泊まり来ない?」
「えっ、いいの?」
「うんっ、おいで」
すごく嬉しかった。
最近はあまり仕事以外で会えなかったから。
山ちゃんはドラマ撮影を頑張っているのだから会いたいなんて我が儘言えなかったし。
本当は、限界寸前だったんだ。
寂しくて毎日寝る前連絡を待ちながら泣いていたし、山ちゃんが恋しくて留守番電話を聞いてみたり。
「だからー…」
こそりと耳元で言われた一言にびくりと反応したのは条件反射でしょ。
『逢えなかった分まで愛してあげるから、ね?』
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