My Everything
□第一話
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大貴と別れて一か月が経とうとしていた。
まさか大貴から連絡があるなんて思っていなかったから驚いた。
「光、久しぶり」
「あ、あぁ」
一方的に別れを告げたというのに大貴は微笑んでいた。
俺の方が拍子抜けするくらいに。
ファミレスだから人がいっぱいいる、喧嘩なんかになったらなんて思っていたから安心した。
「来てもらっちゃってごめんね?光にどうしても紹介したかった人がいたから。」
大貴の隣りに座っているのは明るい茶髪の男だった。
コーヒーを飲んでいた男は俺の方を向いた。
「はじめまして」
「あ…はじめまして」
「じゃあ俺帰るから」
大貴は茶髪の男に何かを言ってから店を出た。
俺はといえば初めて会った男と2人きりにされて気まずすぎる。
「名前なんていうの?」
「えっと…八乙女光、」
「俺薮宏太。よろしく。」
薮は俺のことをよく大貴から聞かされていたという。
いい奴なのだと。
しかし大貴にいい奴と思われるようなことをしていない。
少しばかりの罪悪感が渦巻く。
「俺…そんないい奴じゃねぇよ。」
「そうなの?」
「だから大貴だって捨てたんだから。」
基本行為をしても愛さないんだと薮に話す。
薮に話したことによって大貴に謝ったつもりになっていたのかもしれない。
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