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□これは愛する故の痛みか。
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※裕翔が可愛くありませんので注意。




「ねえ、隣りいい?」




「あ、大ちゃん。いいよどうぞ」





こちらが気持ちいいほどの笑みで隣りを譲ってくれた裕翔。
俺は礼を言いテーブルに自分用の弁当をおき、座った。
あと二時間程でコンサートが始まる故、コンサート中に腹を壊さぬよう消化のいいもので埋め尽された弁当はあまり自分好みではなかったが良い香りを放っている煮物を一口食べた。





「裕翔、山田と食わねえの?」




「どうして?」




「だってお前ら付き合っているんだろ?山田が嬉しそうに話していたよ」




山ちゃんが?と少し怪訝そうに首を傾げたがすぐに裕翔はまた食べ出した。
俺も先程食べて気に入った煮物をもう一口、口に運ぶ。





「確かに付き合ってるね」




「なんだか冷めてんな?」





「ふふ、そうかな。まあ向こうが暑苦しい程暑いのだから僕が冷めてて丁度いいんじゃない?」






俺は驚いて煮物をご飯に落とした。
裕翔は普段にこにこしていて、みんなから好かれている。
だから棘のある言い回しが珍しかったのだ。





「まあさ、山田は裕翔に夢中だけどさ。ちょっとくらい甘えてやれよ」




「やだなあ、大ちゃんは。そんな言い方されちゃ僕が嫌な奴みたいじゃない。」




「ん、ちょっと嫌な奴なんじゃない?山田可哀想」




「可哀想?…そうだね、僕は可哀想な山ちゃんが好きだから。」





裕翔は弁当を食べ終えたようで、すっと立ち上がる。






「じゃあ僕はシャワー浴びてくるよ。あっ、僕の煮物あげるから食べて良いよ。」







そう言って、裕翔は行ってしまった。
俺は裕翔の残された煮物を見つめる。








「…まじで山田は裕翔なんかのこと好きなんかな」





裕翔の煮物を食べながらそう呟いた。













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