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□あなたを好きになったきっかけ。
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あなたを好きになったきっかけ







「え、きっかけ?」



「うん。大ちゃん表に出さないけどすごく幸せそうなんだもん」




山ちゃんとそんな風になりたいなと付け加えた裕翔が初すぎてなんだか暴言という名の言葉のDVをする気にはなれなかった。




「きっかけ…って言われてもなぁ。」



「教えてよー」






きっかけ。
凄く昔のことだった気がする。
伊野ちゃんと会って初めの印象はなんだか変わった先輩。
先輩らしくなくていつも飄々としていて何を考えているか俺には到底分からなかった。

それからしばらく経って髪型を変えたときのこと。
それまでのぺたんとした髪型から少し鶏冠みたいに立たせてみた。
しかし、童顔極まりない俺はみんなに笑われた。


「そんなに変かなぁ…」



「変だよっ、だって顔ががきんちょなんだもん!」




子供らしい素直な意見に内心かなり傷ついてた。お母さんは似合うよって言ってくれたのに。
なんだかお母さんまで否定されている気がして悲しかった。





「どしたの」



「あっ、伊野尾。有岡が髪型鶏みたいにしてきたんだよ」





つんつんたった髪をできる限り伊野ちゃんに見せないよう、手で隠して目をぎゅっと瞑った。
怖かったから。





「可愛いね、その髪型。」



「え…」




「有岡君らしくて俺はすきだよ」





優しく諭すように言った伊野ちゃんをあれから目で追うようになった。
髪型もあれから変えていない。
たぶんあの時がきっかけなんだと思う。
それから幾分かの時が流れ、伊野ちゃんに好きだと言われて嬉しくて泣いた。
そんでもって今に至る。




あなたを好きになったきっかけ






「伊野ちゃんのきっかけは?」




「一目惚れ」












end

伊有もっと普及してほしい…
 

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