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□変わらないもの。 第一話「すれ違う」
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『悪いけど大ちゃんのことそうゆう対象に見れない』



その瞬間目の前が真っ暗になった。
ぐらぐら視界が揺れて何も見えなくなって気付いた時には泣いてた。
最初から希望なんてほぼなかったけれど、ちょっとばかりの薄い希望がぱりんと割れたような。
全部、全部。
真っ暗な世界にぽつんと置かれたような。


それからというもの光君にはあからさまに避けられつづけた。
話す事もできず自分のできることはなるだけ笑顔でいること。

後悔が心のなかでグジャグジャに絡まって溢れ出てきそうでどうしようもないくらい泣きたくなって、泣けなくて。


だから、なんていったら只の言い訳なんだけど。いま光君はテーブルに突っ伏して寝ている。
しばらく直視できなかった、いやさせてもらえなかった光君の顔を見るだけでそれだけでなんだか幸せで。

狡いと分かってはいるけれどそっと顔を近付けた。
ごめんね。ごめんね。
明日からまた友達に戻るから。

口付けをして立ち上がると涙が溢れてきた。
口付けは自分しか知らなくて、光君が起きたらただの友達の有岡大貴を演じなければいけない。

仕方ない、自分は彼に拒まれてしまったから。
隣りにいることさえ許してもらえなかった。




「ごめんね…ごめんね…」



これでいい。
これで。





楽屋のドアからでたときには涙で顔がぐじゃぐしゃだったけれど、
吹っ切れようと心に決めた。




「あれ…大ちゃんなんで泣いているの?」




「ちょっと、大好きなひととキスしてきた」





首を傾げた裕翔にそれだけを言って、

帰り道を走った。





―― ― ‐‐






小雨が降っていたけど駅まで傘もささずに。
泣いているとバレないように。
振られたことなんか初めてじゃない。
只、光君ほど好きになったひとはいなかったから
大好きだった。
いや、大好き。
だから悲しいんだと思う。
びしょびしょのかっこで電車に乗る事もできず、駅前のベンチに座った。
小雨はやがては本降りになって俯いた俺を濡らしていった。
そっと目を閉じてみると意外にも心地良くてそのまま眠ってしまった。









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