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□変わらないもの。 第一話「すれ違う」
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「ちょっ、なにしてんだよっ」





重い瞼を開くと目の前には光君がいた。
ビニールの傘を指して。
身体がすごく重い。
思うように動かせない。頭がガンガンする。
気持ち悪い。
寒い、寒い、寒い。




「ほら、はやくしろよ。」



腕を引かれて歩く。
身体が重い。
視界が揺れる。




「ひか、」




声は掠れて声にならなかった。
何度も名前を呼んでいるのに声になることはなくちゃんと名前にならない。




「どうしたの」



「な、んで…」



「え?」




「なん、で」






今更優しくするの?
なんで
世話を焼くの?

忘れられないじゃないか。






「なんでって見捨てられないだろ。あんなとこで傘もささずに座ってて。死んでるのかと思って焦った」



「なにもしなくていいのに」




「何言ってんだよメンバーだ「避けてたくせに!」




バッと光君の身体を払いよけた。





「避けてたくせになにがメンバーだよ…。うんざりだよそーゆうの。」




「大ちゃ…」




「俺、本気だったんだよ?それなのにそんな同情しないで…」






そんなこと言いたいわけじゃないのに。
世話焼いてくれてありがとうってお礼を言いたいのに。
なんでこう反対の言葉がでてしまうんだろう。
どうして何故俺は光君に当たっている?
光君が俺を拒んだことは決して悪い事ではないのに。




「同情とかじゃない。大ちゃんを探しててやっと見つかってそしたらあんな風になっていて、本当に後悔した」




「…………」




「なんであの時ちゃんと言わなかったんだろうって」




「え?」




「俺ね、怖かった。男が男好きになるって世間体では認められていないだろ?だから、大ちゃんを好きだっていうことが怖かった。」







すれ違う






すれ違うときのなかで、

君を追いかけた


見えない心で 嘘ついた声が
今も僕の胸に響いている











end..じゃありません←

つづきます(^p^)
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