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□アイアムエゴイスト。
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学パロ、八有
シリアスと甘い…のか
この男子校に入学して早三年。
三度目の暑い夏。
アイスを喰いながらいつもの友達と雑談をしていた。
海行きたいとかあの先生マジうぜえとか、高校生らしい会話だった。
あとは下ネタとか。
「光、お前アイス垂れてんぞ」
「うへっ、やべえ」
ぐしょぐしょになったTシャツをみて友人の薮、慧ちゃん、高木がわらう。
Tシャツは気持ち悪いのに俺もわらう。
こんな今日このごろ。
寮は2人部屋だからいまいるのは俺と薮のへや。夏休みだっつうのに実家に帰ることもなくアイスをガキみたいに垂らしながら喰う高校生、みっともないのに今が楽しくてしかたがない。
学食に行こうと食堂にくると何人かの生徒がいた。
きっとこいつらも俺らと同類だろう。
「な、光あいつ知ってる?」
「薮、あいつってだれ」
「あれ、隣りのクラスの有岡ってやつ」
「んー…?」
指差されたそいつは5、6人くらいで飯を食べていてくりっとした目をした少年だった。
女顔で見た目からして真面目そうな生徒だ。友達は少しちゃらけているが彼は頭もよさそうだった。
「知らねえ」
「あいつさ、ホモなんだって」
「はあ?」
「色んな奴にヤってるらしいよ、キモいよな男同士とかマジありえねえ」
「ん、キモいな。」
真面目そうな彼がそうは見えなかった。
ただ彼の友人を見ていると少し納得した。
「よおっし、今日は野菜炒め定食にすっか!光は?」
「若鶏の竜田揚げ甘辛ソース風味定食」
「なげっ」
席に着くころには有岡という少年はいなかった。きっと卒業まで関わりのない生徒。
彼が男色だろうが俺には関係ねえ。
ただ薮がキモいというから俺も同意した。
時が過ぎ、夏休みもあと一日きりとなった。
海も行ったし馬鹿みたいにカラオケ行ったし、充実した毎日だった。
最後なのだからとクラス全員で花火をすることにした。
薮経由で隣りのクラスも参加してかなりの大人数の花火大会となった。
花火は市販のものでホームセンターであるだけ買い占めてきた。
花火大会は大盛り上がりで近所迷惑じゃないかというほどのどんちゃん騒ぎとなった。
俺は花火の煙を吸いたくなくて少しその輪から抜けた。
「八乙女君…だよね?」
「ん、えっとお前は…」
「知らないか、有岡大貴っていうんだけれど分かるかなあ」
「あ…ああ」
確か薮が言っていたホモだという同級生。
笑った顔は可愛らしくて少し見つめてしまった。
「お前、いつもの友達は?あのチャラそうな奴等」
「…あいつらは俺の友達じゃない。」
「ふうん」
きっと夜を共にする相手たちということだろうか。
少し寂しげな顔をして彼は笑ってみせた。
「あーっ光、こんなところにいたのかよっ」
「あ、薮」
「あれ…、有岡なんでいんの?」
薮は思いきり嫌悪を表した。
有岡は薮に目を合わせず小さくごめんと呟いた。
「光、行こうぜ?」
「や、八乙女君待って」
「ん?」
有岡に腕をつかまれて立ち止まった。
彼は少し泣きそうな顔をしていた。
「俺、その…八乙女君のこと好きなんだ…!」
小さく言った有岡は何処か怯えているようにみえる。
「うわ、お前マジでホモだったのかよ。キモいって。次の相手は光かよ」
薮がニヤニヤ笑ってる。いつの間にか慧ちゃんも高木もいる。
友人たちに今自分は恥を見せているのだと思ったら急に口が意思に関係なく動いた。
「ほんとだよ、俺そーゆうの無理。お前の相手になんか加わりたかねえよ」
有岡はびくんと肩を震わせてからまた小さくごめんと言ってから走って寮に戻って行った。
笑顔しか作っていなかった彼の顔が歪んで赤く染まっていたことを俺はしらなかった。
それから、彼は一人になった。
有岡がホモだという噂は学園中に広まっていた。彼の夜の相手だったろうチャラい奴等も一緒だと思われたくなかったらしく、彼は一人になった。
半年間彼が誰かといる姿を見ることはなかった。ただ彼は笑顔を絶やさなかった。
卒業式が終わり薮たちと二次会という名のファミレス祭りをすることになった。
俺は帰ろうとしていた有岡の腕を掴んだ。
薮たちに先に行ってもらうくらいに有岡と話をしたかった。
「八乙女君、どうしたの?」
「お前、なんで笑うの?」
「え?」
「お前辛いんだろ、なんで泣かないんだよ」
驚いたような顔をしたあと有岡はまた笑顔に戻った。
「俺辛くなんかないよ」
「嘘吐くな」
「…八乙女君は変わっているね、みんな俺に触れなかったのに。」
「…お前なんか可哀想な奴だな」
「…知ってたことでしょう。俺は大丈夫、八乙女君ありがとう」
去ろうとした彼の腕をまた俺は引っ張った。
無理矢理体育倉庫に入れると有岡もさすがにびっくりしたようだ。
「…溜まってっから抱かせろよ」
「…っ…、うんいいよ」
乱暴に制服を脱がせると有岡の肌が姿を現す。
綺麗な白い肌。
「溜まっているなら慣らさなくていいよ、辛いでしょ」
有岡の発言が癪に障り彼の言う通り慣らさずに孔に性器を押し込んだ。
乾いていた孔は血液を流しながら俺を受け入れた。
「ん、…くっ」
「痛くねえの?」
「ん、だ…大丈夫だから」
有岡はまた笑う。
それを見るのが嫌で腰を動かした。
有岡を壊すように、粉々に。
行為は一時間程だった。前戯もくそもない、ただ挿れるだけの行為。
有岡はじゃあねと笑って帰った。
泣きそうな顔して。
俺に後悔はなかったはずだ。
無理した笑顔を壊して泣かせたのだから。
「もしもし、薮今から行くから」
俺の高校生活はこうして終わった。
なんだかんだ楽しくて有意義な学園生活。
青春の舞台に別れを告げて俺たちは新たなスタートラインを超えた。
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