After the Rain

□第五話
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「伊野ちゃん、お風呂借りてもいい?」




「うん、いいよ。お風呂はここね?」






案内されてお風呂に入った。
暖かいお湯が疲れと寒さを消してくれる。




今日も冷たい雨だったから体は芯から冷えきっていた。

そういえば、伊野ちゃんと出会ってから太陽を見ていない。つまりずっと雨なんだ。






雨は嫌い。
濡れるしなんとなくテンションが下がってしまう。







「はぁ…」






伊野ちゃんはまだ僕になにか隠しているような気がする。
たまに悲しそうに笑うから…、








「お風呂ありがとう、気持ちよかったぁ」




「どういたしまして。どうする、もう寝る?」




「うん…ちょっと眠いかも、」




まだ22時をまわったころだったけど今日はハードな撮影だった。
だから眠気が襲ってきたんだ。






「ベッド、一緒でもいい?一つしかないから」




「いいよっ。一緒に寝よう?」





2人でベッドに入ると少しきつかった。
ギシギシいうベッド。
シングルのベッドには2人はやっぱり窮屈だ。







「ねぇ…伊野ちゃん?」



「ん?」




伊野ちゃんはちょっと眠いのかとろんとした声だった。






「伊野ちゃん、明日ピアノ弾いて?聴きたい」




「ふふっ、いいよ。弾いてあげる」





ふわんと笑う伊野ちゃんはすごく優しい声をしていた。
また、可愛いって思っちゃった。






「伊野ちゃん…?」





「なに?」





「トイレ行って来るね?」






ベッドから下りて先ほど教えてもらったトイレに向かう。

トイレについてケータイを開くとメールがきていた。




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