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□見えない鎖
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寝不足の時、目がしゅわしゅわと痛くなるように瞼の内が疼いた。
泣いたなら目を洗えと言われたことがある、そうすればよかったと心底思った。

昨夜、大嫌いな奴に好きだと言われた。
俺は何もできず何も言えずただ涙だけを流していた。
あいつの思考回路は破滅していたらしく、泣いた俺は嬉し泣きなのだと思ったらしい。
抱き締められて唇を奪われされるがままな俺をいいことに愛の言葉とやらを連ねた。
ばかじゃあるまいか。
お前の頭の中のお伽噺的シナリオはどんなに素敵なのか知るよしもないが俺を巻き込まないでほしい。

ちなみに俺の大嫌いなやつはいま俺の隣で寝ている、惚けた幼げを残した寝顔で。
腰が痛い。
俺、もしかして…。
いやないだろう。
こんな奴に抱かれるなんて。
実をいうと昨夜酒を飲んでいたためあまりよく覚えていないのだ。

こう見ると綺麗な顔をしているのだろう。
可愛い顔して性格も世間でいう嫌なやつよりは悪くなく、歌もダンスも人の並みを優に越えている。完璧。
何故俺はこいつが嫌いなんだろう。



「ん。伊野ちゃん、」


「一生起きなきゃよかったのに、」


「酷いなあ。俺はこんなにも伊野ちゃんを想っているのに」



そうゆうとこ。
そうゆうとこ、嫌い。
俺がどんなに冷たく言い放っても笑ってる。むかつく。俺惨めじゃんか、ばかやろう。



「嫌いじゃないでしょ、俺のこと」


「大嫌い」


「よく言うよ、昨夜拒まなかったくせに」


「覚えてない」


「都合いいなあ」



近づく唇、にやにやして。むかつく。
気持ち悪い、ばかやろう。



「優しくてお前は気持ちが悪い、、」


「ふ、だってさ








見えない鎖






俺が優しくしてる間は、










伊野ちゃん、
君は逃げられない。






















「やっぱりお前、嫌いだわ」









えんど

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