文倉庫1
□フィルター
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R15
窓の外は季節外れの台風で荒れていた。
ごおごおと大きな音に集中力を介されることなく勉強に励む恋人は一口お茶を飲んでまたテキストとにらめっこをしはじめた。
worldhistoryと書かれたテキストは分厚く、覗けば頭が痛くなるほどびっしり文字やら絵やらが連なっている。
思わず顔を歪めて見つめていると気づいたのか恋人こと伊野尾はおかしそうにくすくす笑った。
「へんな顔して。薮っち先生は待てもできないのかな?」
にやにやしながら問う伊野尾。
こうして意地悪そうに笑う仕草もまた愛おしいだなんて俺は病気だろうか。
「ん、出来ない。折角伊野尾ん家来たのに。」
「俺は課題をしててもいいならって条件出しただろ。」
「…だけど、つまんねえ。」
後ろから抱きつきそのまま押し倒せば伊達眼鏡がコト、と落ちた。
傷になるだろと眉をひそめた伊野尾に気づかないふりをして首筋に吸いつく。
「光栄なる孤独」
「…はあ?」
「イギリスでとられていた政策だよ、ちょっとは見習え。がっつきすぎは嫌われるぞ?」
先程の文字の巣窟のなかに埋まっていた言葉なのだろうか。
聞き覚えのない言葉は興奮で沸騰直前の理性を誘うように撫でてきた。
「でも伊野尾は嫌いじゃないだろう?」
「…さあ、どうだろう」
「ふふ、今日は付き合ってもらうからな」
男にしては少し長い黒髪を撫でて熱い吐息を首に押しあてて服を脱がせれば白い肌がお目見えする。
陶器のように白い肌に赤い痕が合うのはご察しの通り。
乱れ乱れる吐息と仰け反ると浮き出る喉仏が異常に色っぽい。
「ん、やぶ…」
足を持ち無理矢理開くと流石に小さく抵抗された。
白い太ももの内側にまた赤い華を咲かせると頭をガンガンと殴られた。
「もう勃ってるし」
「うっさい…ばか」
とろとろと先走りを流し控えめに揺れる自身は淫らながらに可愛さがある、その向こうに見える伊野尾が涙を溜めた顔はもうなんとも言えぬほどに愛らしい。
ぺろり、と舐めるとお世辞にも美味しいとはいえない浅い塩味と不快な苦味。ちゅうちゅうと吸いながら後孔に指を挿入するとぴくりと体が跳ねた。
「んあ、あ…やだ」
「えろい顔して此処こんなにしてよく言う、とろとろだぜ?」
「んう、言うな、ぁ」
指が三本ほど入ったとき奥のしこりをたまたま引っ掻いた、その時体は大きく跳ねて自身は脈うち口内には苦味が広がった。口内に張りつく精液を無理して飲むとばかやろうと呟いた伊野尾と目が合う。
「俺も、気持ちよくさせてくれる?」
「…やだ」
「やだ?」
「…じゃない」
テキストには書いていない淫らな表情、淫らな声。思わずにやけが止まらず猛る自身を後孔に押しあてた。
フィルター
こいつの涙フィルターの奥に見える俺は、
どんなにやらしい
顔をしているのだろうか。
end。
久々更新。