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小ネタより短いおもいつき話があります(・ω・)
◆深海少年 

高伊






海色のブックカバーは彼を連想させる色だ。
透明感溢れた蒼。
普段しない眼鏡をかけてブックカバーに包まれた本を読む彼はいつにも増して秀明に見える。
その眼鏡がダテだろうが度が入ったものであろうが彼らしさを引き立たせるには充分すぎる代物だった。



「ん、なに?」


「んー別に」


「人をジロジロ見んな、馬鹿木」



そう言い放ちまた本の世界に入っていく彼に少なからず寂しさというべきか侘しさを募らせたのは言うまでもない。
あのレンズ越しに見える彼の瞳に触れたくて触れなれない。
その瞳に映るのは自分でなく、本の世界だけ。
文字しかいま彼の頭にないのだからつまらない。


「…くくっ」


「え?」


「ふははっ、ははは!」

「え、え?」



突如笑いだした伊野尾君。
何がなんなのか分からず戸惑うことしかできない。
彼は海色の本をパタンと置いてから俺の唇に自分のそれをちゅっとくっつけた。



「へ、え?!」


「物欲しそうな顔しやがって。本に嫉妬しちゃったの?雄也ちゃんは」


「…だったら?」


「しょうがないから甘えていいよ」



にぃ、と笑った伊野尾君に近付いて抱き締めるとふわりと香る彼の香。
海色のブックカバーがちらりと視界に映る。



「伊野尾君、」


「なに」


「もう一回ちゅうしていい?」


「いいよ」








深海少年





「ん、高木…すき」




ああ、
蒼が俺を包んでゆく


















end
ようするにイチャイチャ

2011/01/17(Mon) 21:40 

◆不以心伝心 

龍→←涼





「山ちゃんは…何にも分かってない」



最近龍太郎と喧嘩するとそう言われることが多くなった。
昔は『分からずや!』だったり『馬鹿やろう!』なんて言われていたものだけど、最近は先程の言葉を悲しそうな顔をして言うのだ。
そう言われてしまうとこちらとて言い返すことができず謝ってしまう。
謝ってもなお龍太郎は泣きそうに俯く。



「ごめん…」



「…うん」



泣きそうな顔は変わらずにただ返事だけが返ってくる。
今より少しだけ昔、お前は俺に笑いかけてくれていたのに。

















不以心伝心







(どうして山ちゃんは俺を見てくれない?)




(どうして龍太郎は俺を見てくれない?)











end
すれちがい

2011/01/11(Tue) 22:56 

◆触れたのは 

薮伊※死ねた



泣きたくなるくらいに本気だった、
悔しがるくらいに心奪われていた、
それくらいにそう、お前が好きだったから。


「クリスマス前にいなくなるとか、馬鹿じゃねえの?」


雪が俺を包む。
ああまだ触れた唇を覚えている。
甘いとか熱いとか、辛いとか冷たいだとかそうゆう安価な気持ちじゃなくて、触れた唇から薮を全部感じていた。あのころが酷く恋しい。

ホワイトクリスマス、
人は雪にはしゃいで
俺は雪に混じって涙を流す。
その涙が雪に変わることを信じて。














触れたのは、
















なんだったんだろう。
失ったのは、
ああなんだったんだろう。














end
…暗いの私好きだなあ…

2010/12/21(Tue) 22:34 

◆とある恋人達の休日 

ひかあり★








深呼吸をしながら、んんーと呻き声をだすとなんだそれと笑われた。
綺麗な青空は澄みきっていて逆にひどく寂しいような気にも思えるほどになにもないただの蒼の世界だった。
風は冷え、息は白くただそれでも手には温もりがあった。
手袋でもない、カイロでもない、隣りにいるひとの右手の体温が。じんわり染み込んだ。



「今日はどこ行きたいの」


「うーん…どうしよう」

「決まんないなら、ブラブラ歩くか」



大通りにでないのはこの手の温もりを手放すのが嫌だからで、放す気などさらさらなかった。
同じペースで同じ歩幅で時たま目が合って笑い合う、そんな休日。








とある恋人達の休日






(ねえねえ、ひかるくん。あの雲高木に似てない?)



(ああ、似てるんかもな)















end
ひかありの幸せなお話をあまり書かない私がいることに気付き書いた甘いほのぼのしたお話でした。

2010/12/07(Tue) 23:07 

◆ツキアカリのミチシルベ 

ゆといの
ステレオポニー「ツキアカリのミチシルベ」曲パロ
※跳になるまえ









ふう、とため息を吐いた。
笑顔だけの雑誌をパタンと閉じた俺を照らすのは月明りだけ。






ツキアカリのミチシルベ








「なに、ため息なんか」
「別に、分からなくなっただけだ」


幼い頃は確かに夢があった。
大きくて輝いた綺麗な綺麗な夢が。
ずっと、ずっと夢見てた。
それをいま俺は叶えるのだ。
それを、


「なにが」

「うん…なんだろう」

「なんだそれ」

「なんだろうな」


例えば此所へ行こうと決めてそこに着いて、目標がなくなって何もやる気がなくなるような、そんな。
ああ、背伸びすればほら届くのに。
駄目だ、指先が震えて掴めない。
昔から夢みていたそれに触れて、掴みとることが怖くて仕方ないんだ。
夢の輝いた世界に入ることが怖くて、怖くて。

ツキアカリは教えてくれない。
どうすればなんて優しく教えてくれない、ただ俺を照らすだけ。


「よく分かんないけど、伊野ちゃんは笑ってたほうが可愛いよ」


まるでツキアカリのように、いや太陽のようになんて言ったらやっぱりクサいだろうか。
だけどそれみたいに輝いて照らす裕翔に顔が緩んでしまう。


「裕翔、あーもう」

「あれ…僕なんか変なこと言った…?」

「ううん、お前が正しいの」

「あーうん、よかった」


ツキアカリはほらふたりを照らして。
ミチシルベにはならないけれど薄く明るく。
小さな俺らの夢を照らしている。
大丈夫、俺の隣りには太陽がいていまそいつと一緒に夢を掴むんだ。
さて、歌おうか。













ツキアカリの
ミチシルベ。
















end
センチメンタル伊野尾くん。
ステレオポニーのツキアカリのミチシルベ、大好きなうたです。是非聴いてみてください。

2010/11/27(Sat) 10:22 

◆淫ら草 

久々、涼侑。
裏。













深呼吸をしながらドぎつい蛍光ピンクの液体はホットレモンティーにいれるとじんわりと透明に溶けだした。
仄かにかき氷シロップのような甘いにおいがする。


「はい、こんなんしかなくてごめんね」

「ううん、ありがとう」


猫舌なのかふうふうと冷ましてから一口飲んだ小さな彼はおいしいと呟いた。
やがて白くて小さい紅葉型の掌はティーカップをテーブルにおいた。
唇から行儀悪くレモンティーを垂らし、顔を赤く染めて口をぱくぱく開閉している。
まるで餌を食べる金魚のように、


「ん…、ふ…」

「レモンティー美味しかった?俺も飲もうかな」
「はあ…ん、」


ただ興味があっただけ、いつも何処か高い所で可愛らしく微笑む知念がどう壊れるのかが気になったんだ。どうしようもなく、ね。
蛍光ピンクのただの液体に踊らされているお人形のような同級生のアイドルをこの目で見たかったのだ。


「あ…、りょす」

「なに、おかわり欲しい?待って、淹れてくるから」


がしっと腕を掴まれる、振り返ると真っ赤で涙を溜めている知念。
睨まないで、綺麗なひとが睨むと怖いから。


「なん、かやっ…たでしょ」

「んーまあ、やったかな」


暑いのかシャツのボタンを外していく知念。
高校生と思えない可愛さから色香がじんわりと滲む。
指で鎖骨に触れるとビクンと肩が跳ねた。


「ひい、ん」

「変な声出しちゃって俺を煽ってるつもり?」

「ちが、」

「でも残念。俺はおまえに恋愛感情とかないから」


にっこり笑ってやるとついに我慢しきれなくなったのかジーンズのファスナーを自ら下ろし自身を取り出した。


「はあ、あ…や、ら」

「うわあ、知念って友達の家で一人でヤっちゃうんだ?」

「や、だって…ん」

「やらしいの」


罵られるのに感じているのか鈴口からとぷりと蜜を零す。
可愛いよおまえは。


「あぁ、ん…きもひい」
「よかったな、気持ちよくて」








淫れ草




ほら、
俺のために淫れて。














end
意味分からない…

2010/11/23(Tue) 14:07 

◆コワイモノ 

涼龍
中2的な病み龍







友人の誕生日会だった
彼はまたひとつ大人になった
ひとつ大人に近付くということは
ひとつ生きる時間が減るということだ
彼はその階段を上にひとつ上がったのだ

そう、
そう考えると
とても怖くなったんだ
死にたくないって
俺はずっと生きていたい
死にたくない、
みんなも死んじゃやだ



「あー…上手くはいえねえけど、大丈夫だから」


泣く情けない俺に山田涼介はそう言った
不器用に頭をわしゃわしゃと撫でながらきっと励ましているのだろう
女の子を魅了す甘い顔立ちは困ったような少し情けない顔になっている
そうさせたのは紛れもなく俺だった



「俺バカだからあんま死ぬのが怖いとか考えたことないけど、なんかうん。」


「……うんてなに」


「大丈夫、なんか大丈夫なんだよ。なんか、うん」



彼はコトバを選びながら必死にいう。
ちょこまかちょこまか動く可愛らしい年上の彼を見ていると、
心がくすぐったくなって笑ってしまう

それを見た彼もまた
笑う











――コワイモノ――





死ぬのが怖い
って幸せな悩みだ、
そう薮君が言っていた

幸せだからそう悩むのだと、
大切なものを失いたくないからそう思い苦しみ泣くのだと、


「大切なもの、」




さあそれは、




「龍太郎、帰ろうぜ」


「うん、山ちゃん」




なんだろうか。















end
アンケートで何気龍太郎が多いので。

2010/11/14(Sun) 00:28 

◆幸せに生きています。 

やぶいの!








「俺ってさ、薮のなに?」



決して暗くない逆に騒がしい楽屋で伊野尾は声を震わせて小さく俺に問う。
普段のちゃらかすような声でなくて声が濡れていたから少し胸が苦しくなった。

笑いあう7のメンバーの声や、それに交ざるBESTなんかは気付いていないだろう。
伊野尾のか弱い助けてサイン。



「なんて言ってほしい?」


「……ん」




頭を撫でると嫌がる顔、それと引換えに寄り添う体。
やぶ、と小さく呼ばれてなに、と返事をするころには声は震えることを止めた。



「すき、すきなの。やぶが」


「うん。俺もお前がすきだよ」


「だから、ずっと俺を見ていて、」


「んーいいよ、見てる」



伊野尾はすりすりと顔を擦り付ける。
それが猫のようでなんだかおかしくて笑ってみた。











幸せに生きています。






こんな日が、
いつまでも
続きますように。









end

2010/11/08(Mon) 23:47 

◆ 君は酷い人だからなんてそんなの言い訳だって自分が一番分か っているの。 

題名なげえ…
ちょっと酷めな(DV)涼→大
―――――






「ん、ん…」



紐で手足を縛り、布で口を目を塞いだ。
何度も殴った頬は青紫色に染まっている。
綺麗な顔、歪んじゃったね。
なのに凛としているんだ、このひとは。
綺麗なんだ。



「大ちゃんなんか嫌いだ」



「嫌い、嫌い」



「大嫌いだ」




口元の布を外して呼吸を奪うようにキスをした。
涙溢れるのは彼でなく俺なんだ。



「大嫌いだ…大嫌い」



「はぁ…、ふ…俺は、すきだ」



「…すきだなんて言うなよ」




君のすきが
俺のすきと違うこと君が一番よく知っているはずでしょう。
君は酷いひと。
ぐちゃぐちゃに壊されたのは俺のほう。




「大嫌いだ…」












君は酷い人だからなんてそんなの言い訳だって自分が一番分かっているの。





ほんとは君は優しいひとなんだ。
すごく、すごく。













end

2010/11/04(Thu) 22:45 

◆我が儘デイズ 

薮×光







手が届かない分かっていてもきっと俺はまた手を伸ばす。
そうして空を掻いてまた勝手に一人で傷ついて君のせいにする。

飛べるなら、
ジェットコースターより速く走れるのなら、
君に届くのかな。

独り善がりなこの想いが届くのかな。

馬鹿だよね、
努力もしてないくせに。
きっと君は笑うんだろうね。
冗談よせよって。
俺もきっと笑うんだろう。

苦しいよ、苦しい。



「笑えば?」


「へ…?」


「お前に辛気くさい顔は似合わねえよ」


「やぶ、」


「なに?」












我が儘デイズ






「ばかばかやぶばか」


「はあ?」


「…好きだっての」










end
わけわかんないお話…

2010/11/04(Thu) 22:33 

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