ScaredRiderXechS text
□それが誓いだから
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補足
・「まだ、未発展の頃の話」の続き。設定は「まだ、未発展の頃の話」と同様。
・管理人は現在6章Aパートまでしか終わっていませんが、バレ掲示板などを読んでいるので、それ以降のネタが含まれています。
ネタバレが大丈夫な方だけお読みください。
・ヒジアキというよりは、ヒジリ→アキラで、ヒジリの独白です。
書き始めて、どれくらいの時間が経ったのか。最後の一行を書き終えて、俺はペンを置いた。
「うおお・・・マジ疲れたぜ・・・」
ぐてっと、机に突っ伏したくなるくらいに疲れた。最低枚数が20枚って鬼畜過ぎるだろ!と思わずにはいられない。
・・・何か、頭が痛い。目もしばしばしているし、手も少しぴりぴりし始めた。マジ腱鞘炎のフラグかも。
こんなにも長時間集中して報告書を書いたことは初めてだった。しばらく、文字の羅列なんざ見たくもねぇ。
「・・・おい、アキラぁ。書き終わったぜ」
とっとと、渡してしまおう。監視下に置かれて書いたものを手にして、後ろに振り返る。
と、俺は自分の目を疑った。
アキラは、俺のベッドで横になって眠っていた。
「・・・おいおい、まじかよ・・・」
そういえば、やけに静かだとは思っていたけど・・・まさか寝てるなんて。
まぁ、まだ編入してきたばっかで何もないし、オチャヅケはエピフォンのところだし。暇だろうなぁと申し訳なく思ってたけど・・・。
疲れてるんだろうな。毎日毎日、夜遅くまで仕事をやっているって聞いた。
俺はやれやれと肩を竦め机の上に報告書を置くと、椅子から立ち上がった。そして音を立てないようにベッドに近づくと、膝をついてアキラの寝顔を覗き込む。
ついさっきまで「報告書ー!」と眉を吊り上げていたのに。その寝顔はひどく穏やかで、可愛くて。鬼教官ではなく、普通の、どこにでもいる女の子そのもの。
そして・・・俺が守れなかった、昔のアイツの寝顔と全く同じ。
ズキッと、その瞬間胸が痛んだ。過去は忘れようと、振り切ろうと思っていたはずなのに。
こいつは、昔のアキラじゃないって、俺の知っているアキラじゃないってわかっているのに。
「・・・オマエの中に、俺はいないんだよな・・・」
返事がないのを知ってて、呟く。
それは、あのときにいやと言うほど思い知ったはずだった。LAGにやってきた日、俺を見ても何も反応が無くて、「よろしく」と事務的な言葉を告げられたとき、絶望した。だから、俺だけじゃ不公平だから、今のアキラが大事な第6戦闘ユニットのやつらを傷つけて、絶望させてやろうって思った。
・・・でも、無理だった。アキラは、アキラのまんまだった。記憶がなくても、俺の知っているアキラのまんまだったから。
ISの奴らもいいやつばっかりで、そんなことできるはずもなかった。だって、あいつらもアキラことが好きで、大事に思ってるんだから。まぁ、思い続けてる長さと深さじゃあ、俺のほうが俄然上だけど。
・・・だから、たとえこいつが俺のことを覚えていなくても、俺はこいつが大事だって、好きなんだって再確認した。その隣を、誰かに譲りたくないと思えるほどに。
けど・・・今の俺にその資格はない。アキラを守れる力はどこにもなくて。アキラのために戻ってきたのに、何も出来ない。オチャラけた男を演じて、気を惹くことしかできない。
そんな自分が、悔しくて情けない。そして、―――許せない。
「・・・くしょう・・・」
もう、あのときのような思いだけはごめんだ。こいつは俺が守るんだ。
それが、あのときたった一人だけ生き残った俺の役目で、戻ってきたときに心に刻んだ誓いだ。他の誰にも譲りはしない。
―――だから、
「・・・いつまでも、傍にいてくれ・・・」
たとえオマエが俺を覚えていなくても。昔のように呼んでくれなくても。
ただ、傍にいさせて欲しい。ほんの短い間でも構わないから。
そっと、アキラの乱れた前髪を掻き揚げる。
現われた白い額に、唇を落とした。