キャラ×ゲームヒロイン
□右手がお留守なの
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彼の手は、とても大きくて、あたたかくて。時折私の頭を撫でるそれは、とても優しくて、安心する。だから。
「洸さん」
「ん?なぁに?」
「・・・手、繋いでも、いいですか・・・?」
私の言葉に、洸さんが大きく大きく目を見開いた。その途端恥ずかしくなって、視線を地面に落とす。顔が熱い。トマトみたいに真っ赤になっているのが自覚できた。
今の今まで、自分からそんなことを言ったことはない。いつも、彼から。それが当たり前になっていて、私は任せたまま。
だからだ。今日は何も仕掛けてこないから、自分の右手がひどく寂しく感じてしまった。
「もちろん」
くすり、と彼が笑った気配がした。と、同時に、右手を握られる。
否、握られるというよりも、指を絡められる、と言ったほうが正しい。
「っ・・・」
俗にいう、恋人繋ぎだった。いつも普通に握られていたから、私は驚きを隠せない。
「これでいいかい?お姫様?」
面白そうに目を細める彼が、何と恨めしいこと。もしかしたら、このためにわざと、と思わざるを得ない。
でも、それでも。彼の手のあたたかさは、私にはひどく心地よくて。
「・・・・・・はい」
私は頷いて、絡めた指に力をこめた。
このぬくもりを、少しでも長く感じられるように。
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私の中で洸はとんでもなく策略家だったりします。(笑)
ちなみにこの小ネタは、6月26日までに華蝶さんのところの週末チャットに参加した方のみお持ち帰り可能です。