過去拍手御礼
□黒い瞳
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『黒い瞳』
D.Gray-man(クロウリー×エリアーデ)
ワルツ、の曲、だった。
「…オルゴール?」
「そうである。」
アレイスターが何処からともなく引っ張り出してきたそれは、美しい装飾の施された、古い、オルゴールで。
流れてきたのはロシアの古い民謡だった。
「御祖父様のコレクションである。」
「ふぅん。」
「どうであるか」
「『どう』、って?」
「美しいであろう?」
美しい、とは何処に向けての言葉なのか。
姿形か、メロディーか、それとも音質そのものか。
(何処にかかっていたとしても、それは。)
「…美しいわ。」
正直に答えれば、彼はにっこりと笑った。
それから。
暫くは、二人して、ただただ静かにそのオルゴールの音に耳を傾けた。
(そして。)
「…ねぇ、アレイスター。」
「なんであるか。」
「踊りましょ。」
私は三拍子に導かれるままに、彼に手を差し延べた。
(それは、哀しい、恋のワルツ、で。)