過去拍手御礼
□ホットミルク
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『ホットミルク』
D.Gray-man(クロウリー×エリアーデ)
怖い夢、を見た気がした。
(AKUMAが夢だなんて、馬鹿馬鹿しい。)
そもそも、AKUMAである私が眠ろうとしていること自体、可笑しいこと。
ただ、身体を横たえる、それだけ。
夢なんて、見るわけがないのに。
そうは、思っても、いやに眼が冴えてしまって。
気晴らしに、城内を散歩することにした。
ふと物音に気付く。
厨房、から?
もし、泥棒だったら、始末してしまおう。
(優しくて、怖がりな彼が気付く前に。)
そう思って、厨房に足を踏み入れれば。
「アレイスター様…?」
そこにいたのは、彼自身。
「エ、エリアーデ。
起こしてしまったであるか。」
「いえ。
どうなさったのですか。」
問い掛ければ、恥ずかしそうに眼を逸らすアレイスター。
「…こ…」
「『こ』?」
「怖い夢を見たである。」
彼の言葉にきょとん、としてしまう。
それから、思わず。
笑ってしまった。
「やはり、いい歳をして可笑しいであるな。」
ますます、恥ずかしいそうに赤くなった彼を見て、首を横に振る。
「いいえ。」
それから、笑顔を向けて。
「私も同じ理由で眼が覚めてしまったのです。」
そう、答えた。
(彼と同じだということが、嬉しかった。)
その後は。
二人して、ホットミルクを飲んで。
もう一度、おやすみなさいと、挨拶を交わした。
(そう言えば、どんな夢をごらんになったんですか。)
(うむ…エリアーデが、吾輩の側からいなくなってしまう夢であった。)
(……アレイスター様。)
(なんであるか。)
(私はずぅっと、お側におりますわ。)
(珍しく敬語エリアーデ/笑)