過去拍手御礼

□ホットミルク
1ページ/1ページ

  
『ホットミルク』
D.Gray-man(クロウリー×エリアーデ)
 
 怖い夢、を見た気がした。
 
(AKUMAが夢だなんて、馬鹿馬鹿しい。)
 
 そもそも、AKUMAである私が眠ろうとしていること自体、可笑しいこと。
 ただ、身体を横たえる、それだけ。
 夢なんて、見るわけがないのに。
 
 そうは、思っても、いやに眼が冴えてしまって。
 気晴らしに、城内を散歩することにした。
 
 ふと物音に気付く。
 厨房、から?
 もし、泥棒だったら、始末してしまおう。
 
(優しくて、怖がりな彼が気付く前に。)
 
 そう思って、厨房に足を踏み入れれば。
 
「アレイスター様…?」
 
 そこにいたのは、彼自身。
 
「エ、エリアーデ。
 起こしてしまったであるか。」
「いえ。
 どうなさったのですか。」
 
 問い掛ければ、恥ずかしそうに眼を逸らすアレイスター。
 
「…こ…」
「『こ』?」
「怖い夢を見たである。」
 
 彼の言葉にきょとん、としてしまう。
 それから、思わず。
 笑ってしまった。
 
「やはり、いい歳をして可笑しいであるな。」
 
 ますます、恥ずかしいそうに赤くなった彼を見て、首を横に振る。
 
「いいえ。」
 
 それから、笑顔を向けて。
 
「私も同じ理由で眼が覚めてしまったのです。」
 
 そう、答えた。
 
(彼と同じだということが、嬉しかった。)
 
 その後は。
 二人して、ホットミルクを飲んで。
 もう一度、おやすみなさいと、挨拶を交わした。
 
(そう言えば、どんな夢をごらんになったんですか。)
(うむ…エリアーデが、吾輩の側からいなくなってしまう夢であった。)
(……アレイスター様。)
(なんであるか。)
(私はずぅっと、お側におりますわ。)
 
(珍しく敬語エリアーデ/笑)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ