果ての月
□入学式、緑の瞳について。
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「あの息子が入ってきたのね。」
入学式が済んで男が自室に戻れば、当然のようにソファに座した少女がいた。
「随分と父親にそっくりの姿形だわ。」
ピクリと男の目元が動いた。
「その中に、母親にそっくりの緑の瞳。」
「…何が言いたい。」
唸るように言葉を発した男を、少女は一瞥した。
「貴方は、あの緑の瞳を守るつもりなのでしょう。」
男は、答えない。
「…ねぇ、セブルス。貴方は知っていたかしら。」
「何をだ。」
何処か自嘲にも取れる笑みを浮かべ問い掛けてきた少女に、男は問い返す。
「私はあの緑の瞳も好きではないのよ。」