果ての月
□帝王の復活、満月を見上げ。
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「闇の帝王とやらが、復活したの。」
「…あぁ。」
少女の問いに、男は重く答えた。
「そう…。」
左腕を押さえる男。
男に眼をやる少女。
それから、少女は空を見上げた。
満月。
「あの、赤い瞳の坊やが」
少女の言葉に、男が驚いたように顔を上げた。
「…どうしたの、セブルス。」
「…お前にとっては…闇の帝王でも、“坊や”なのか。」
少女が瞬きをした。
「当然じゃない。
私は此処が学校になる、ずっと前から生きているのよ。」
再び少女は空を見上げた。
男も倣うように空を見上げた。
満月。
白い月光。
「私にしてみれば、皆幼子同然よ。」