果ての月

□帝王と城主、圧倒的な差。
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「私を、殺す?」
 
 少女は眼を細めた。
 
「貴方が、私を殺す。」
 
 少女は冷笑した。
 
「何が可笑しい。」
「私を殺す。
 トム・マールヴォロ・リドル。
 貴方が。」
「其の名で呼ぶなっ。」
 
 赤い瞳の男は少女に杖を向けた。
 男に、少年時代の面影はない。
 
「何度でも呼ぶわ。
 だって貴方はトム・マールヴォロ・リドルでしょう。」
「俺様は、ヴォルデモート卿だ。」
「卿?貴方の様な、子供が、ね。」
 
 息を吐く様に少女は笑った。
 嘲笑った。
 
「アバダケダブラ!」
 
 男は呪文を唱えた。
 しかし、何も変わらない。
 ただ、眼鏡の奥の少女の瞳が、怪しく光を灯していた。
 
「人間風情の魔法が、私に効くなんて本気で思っているの。」
 
 少女と眼が合った男は、金縛りに囚われた。
 
「私と四人が交わした契約は、此の学校の生徒と、私を守る為にあるのよ。」
 
 男の歯が、ギリッと音を立てる。
 
「そして、私は、此の地其の物。
 ホグワーツは私自身。
 私がホグワーツで、ホグワーツが私。
 私を殺したいのなら、此の土地全てを消し飛ばして御覧なさい。」
 
 怪しく少女は笑った。
 少女は、人間ではないものの笑みを浮かべた。
 
「貴方に私は殺せない。」
 


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