short&finished
□これからも、よろしく。
1ページ/1ページ
「問題でぇす。今日は何の日でしょうかぁ。」
ニコニコと問い掛ければ、ゆっくりと数度瞬きをされる。
常と変わらぬ美しい瞳だ。
「何の、日。」
暗に答えは解らない、という反応。
まぁ、この反応は予想済み。
日付感覚は元より、時間間隔すらしっかりしない彼女だ。
(不老不死の翼手である自分ですら、驚かされる曖昧な時間間隔。)
しかし、それにももう慣れた。
「今日はね、一周年よ。」
「『一周年』…。」
首を傾げられた。
同時に絹糸のような髪が、サラリと揺れる。
「アタシと貴女が出会って、一年。」
(正確には、『出会って』ではなく、言葉を交わしてだけれど。)
「『一年』…。」
「そっ、一年。」
コクコクと、可愛らしく彼女は数度頷いた。
「これからも、宜しくね。」
そう、手を差し出せば。
再び、ゆっくりと数度の瞬きをして。
「宜しく、これからも」
そう、手を握られた。
そして。
「ずっと。」
付け加えられた言葉に。
嬉しくなった。
(これからも、ずっと宜しく。)