short&finished

□これからも、よろしく。
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「問題でぇす。今日は何の日でしょうかぁ。」
 
 ニコニコと問い掛ければ、ゆっくりと数度瞬きをされる。
 常と変わらぬ美しい瞳だ。
 
「何の、日。」
 
 暗に答えは解らない、という反応。
 まぁ、この反応は予想済み。
 日付感覚は元より、時間間隔すらしっかりしない彼女だ。
 
(不老不死の翼手である自分ですら、驚かされる曖昧な時間間隔。)
 
 しかし、それにももう慣れた。
 
「今日はね、一周年よ。」
「『一周年』…。」
 
 首を傾げられた。
 同時に絹糸のような髪が、サラリと揺れる。
 
「アタシと貴女が出会って、一年。」
 
(正確には、『出会って』ではなく、言葉を交わしてだけれど。)
 
「『一年』…。」
「そっ、一年。」
  
 コクコクと、可愛らしく彼女は数度頷いた。
 
「これからも、宜しくね。」
 
 そう、手を差し出せば。
 再び、ゆっくりと数度の瞬きをして。
 
「宜しく、これからも」
 
 そう、手を握られた。
 そして。
 
「ずっと。」
 
 付け加えられた言葉に。
 嬉しくなった。
 
(これからも、ずっと宜しく。)
 


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