♪番外編、短編集♪

□旅人のクリスマス
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旅人のクリスマス〜夜空に輝く星々〜





 ここに、ある旅人が2人、いた。フェシーたちとはまた違う目的で旅をしている兄妹である。

 この2人は、夜、野宿をしていた。とはいえ常に村に留まらないため、いつも野宿なのだが。

「お兄ちゃん、できたよご飯。」

 少女の声が兄に聞こえる。まだ10代前半ぐらいの少女である。

「分かった、すぐ行く。」

 兄の声。兄は、夜空を静かに見ていた。彼はかすかに、夜空を見ながらあることを思い出していた。


 ――それは、この日の午前中に会った旅人とのことだった――。


 彼は魔法の―魔力を最大限に持っているという玉を捜していた。

 それをなぜ求め、なぜ見つけようとするかは謎だ。

 しかし、自分たちを見た者はすぐに瞬殺することにしていた。

 妹に何かしようとする者にはなおさらだ。なので実際彼らを知る者はいない。




 だが今回は違った。

 彼は午前中に会った1人の少年――18ほどの少年と出会い、その者の命を奪おうとした。

 しかし、それは失敗に終わり、そして自分が敗北したことで、自らの命を絶とうとしたのだが…。

 彼はその際にこんなことを言ったのだ。

『なぜ負けた者が死ななければならないんだ?せっかく助かった命を無駄にするつもりなのか?

 ただでさえ、この世界に騒乱が起きている中で、罪なき人々が命を奪われているというのに、お前はなぜそのようなことを言うんだ。』

 兄である自分はこう言った。『敗北した者は命をとられる。それは自然の掟だろう?』と。
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