♪番外編、短編集♪
□悩み事
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「リッキー、いるか?」
フェシーは部屋のドアの前でノックしながら言った。しかし、返事はない。
「俺だ、フェシーだ。」
すると、ドアが開き、悲しい瞳を宿したリッキーが出てきた。
「フェシー………。」
「いったい何があったの?数日間元気がなくて。」
リッキーはまた口を閉ざした。しばらくして、また言った。
「……フェシー……君だけ…来てくれる…?」
フェシーは驚いたが、すぐに頷いた。
「しばらく、待っといてくれるか?」
ラメールとテルクは頷き、自分の部屋で待つことにした。
フェシーはリッキーに部屋まで案内され、机を挟んで向かうように座った。
「それで…事情を聞かせてくれるかい?」
リッキーは頷いて話した。彼女はここ最近、自分のありかたについて悩んでいたという。
自分はここにいるべきなのか。ここにいていいのか。
そして、何より今行っている行動が、ミミリンやラメールたちに迷惑をかけていないか等など……。
フェシーはそのことに微笑みながら言った。
「リッキー……君が何を思っているのか深くまでは分からない……。
だが、今こうやって自分の殻に閉じこもっていることじたいがミミリンたちに迷惑をかけていることが分からないのかい?」
「えっ………?!」
リッキーはその言葉に唖然とした。
「ミミリンやラメールは君のことを思って心配している。特にミミリンはあまり眠れることがなかったらしい。
何も打ち明けなかったら、その分だけ他人を心配させ、迷惑をかけていることになる。」
「…………。」
「それに、『自分がここにいていいか』なんてものは、今ここにいて何も文句などは言われていないのだから、いていいはずなんじゃないか?
それに、何を言われたかは分からないが、とにかく嫌なことはすぐに忘れて、いい方を考えることが大切だと俺は思う。」
「いい方………。」
リッキーは、そのあともフェシーの話を聞いた。
「いろいろあるが、他人は思ったより深刻な話はあまりしない方らしい。
だからそこまで深刻に考えていると、こっちの身が持たないさ。
気楽にそうか、ごめんみたいな応対ができれば、なんとかそこはおさまるんだ。」
「でも、そのあと何か言われたりしたら…?」
リッキーはまた質問をした。