リクワイアの神々〜外伝〜

□アールキー・フライニングの伝
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アールキー・フライニングの伝〜前編〜




 ―――世界リクワイア。この世界の誕生は、どこかにあるどこかの世界と同じビッグバンによって生まれた。とある銀河系の1つにその産声をあげたこの世界は、誕生して世界に生命が生まれるまでは少しの年月を要することになった。この間の生命が何も存在していない時代を、私たちはノバディールワールドと呼んでいる。
 やがてこの世界に1つの生命が誕生する。その名を私―――否、私たちは世界に生まれた意思という意味を込め、“イシディア”という名を後に名付けることとなる。世界の意思であるイシディアはこのノバディールワールドの期間を記憶として所持しており、イシディアはやがて世界リクワイアを活気づけるため、自分以外の生命を生んだ。
 その1人が、アールキー・フライニングという少年だ。そしてこれを綴る私―――ライド・コルコーンもまた、イシディアによって生を受けた者と言って過言ではないだろう。
 後にそして、私たちと、世界の意思イシディアは気づくことになった。私たちを生んだことによって発覚した、この世界の仕組み―――そしてその情報は真っ先に私に伝えられた。おそらく私が、イシディアと意思疎通ができる唯一の人間だからなのだろう。他の者は、そのイシディアの存在を知ってはいても、その姿を見たことはないという―――私を除いて。
 かく言う私も目の前で見たというよりは、眠っている間に夢のような形で出会ったというのが正しい。彼女、と言うべきなのだろう―――私が、リクワイアにこれから刻まれる歴史の第一歩を綴り、記録として残していく重要な役割を担うことになるという話を聞かされることになった。正直最初はピンとこなかった……いや、くるわけがなかった。だが、これから綴る話で私はそういう役を担うことになることを理解した。
 これから綴るのは、このリクワイアの世界が誕生し、生命が宿り、そしてその対価によって生まれた、長きに渡って語られることとなる、“光と闇の戦い”の幕開けとなる物語である。
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