桜色小町
□桜の少女
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――此処は、元禄華やかりし頃の京。
桜が散り、幻想的な雰囲気をかもしだす。
そんな花びらに包まれて、町で噂の少女が現れる。
「こらー!小町、また悪戯しおって!」
「あははっ。分からん方があかんねん!」
「もう、この子はしったらしい口ばっかきいて…」
小町と呼ばれた少女は、軽やかに道を走る。
その真後ろから、般若の様に恐ろしい形相の女が小町を追いかけてきた。
「お、小町ぃ!また悪さしたんか?」
商人の男が、走る小町を呼び止める。
「吉兵衛はん。ややなぁ、悪さと違うし。遊びや遊び」
「こらまたいけない遊びやなぁ!」
「ふふっ。ほななー!」
小町は吉兵衛に手を振りながら、未だ追いかけてくる女から逃げていた。
「小町ぃぃい!帰ってきたらお説教やからね!」
「わぁ〜お母はん堪忍して〜」
小町は裏路地に隠れると、ほっと溜め息を吐いた。
「はぁ…ちょっと悪戯しただけでこの騒ぎや。ほんま辛いわぁ」
小町はやれやれと、側にあった茶屋で休む事にした。
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