読み切り

□Door
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歪められた空間。
狂わされた感覚。

此処に連れてこられ、どれだけの時間が過ぎただろう。
上下すらも見失ってしまいそうな異次元空間。
時空の檻。

繻子布の衣擦れ。
二つの荒い息遣いに混じる卑猥な水音が聴覚を穢す。

一切の干渉を受けない時の狭間で。
激しく絡みあう獣たち。





「や・・・め・・・お願ぃ・・・・・もう・・・やっ」
「聞けないな」

逞しい腕が、未発達な少年の肢体を翻弄する。
極限に近い状態の少年は懸命に抵抗を繰り返すが、歴然とした体格差は、無残なまでの不毛さを彼に突き付ける。

「まだ分からないのか? 星矢・・・・お前は私のものだ。他の男の目に触れることも許さない」

突き上げる動きに、少年の体が戦慄いた。

「あ・・・んああぁ! サガっ! や・・・あ!!」

神と呼ばれた男。
嘗ては己の星の運命に流され、善悪二つの心を有していた。
だが、善であろうが悪であろうが、この少年を欲しいという願望にそれらの境はない。

蒼い髪のサガは慈愛に満ちた、それでいながらどこか壊れた微笑を浮かべながら、再度囁いた。

「お前は私のものだ。永遠に・・・・・」

嘆く少年は、己の涙の意味さえも見失っていた。





逃げ出さなければ・・・


此の檻から


この男から――――
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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