読み切り
□promise
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「アイオリア・・・」
名を呼ばれて振り返ると、唇に、柔らかくあたたかいものが押し当てられた。
眼前に迫る大きな瞳は閉じられ、長い睫毛が震えていたのが印象的だった
開いた口が塞がらないというか。
唇に触れる少し湿った感触は、その心地よさを堪能する間もなく離れていき。
それを齎した目の前の少年は、普段であれば指を差して俺の間抜け面を笑うのであろうが・・・
今は恥じらいに頬を紅く染め、はにかんだように笑っていた。
―――やたらと愛らしい笑顔だと思った。
極東の島国からやって来た小さな少年。
修行の合間や彼の師が家を空ける時は、俺とミロがよく面倒を見た。
俺達も悪ガキだったから、鍛錬の相手をするだけじゃなく、からかったり、悪い遊びを教えたり。
可愛い弟分。
幼い頃から屈託なく笑う子供だった。
いつまでも子供だと思っていたのに・・・
一体いつの間に、こんな表情を見せるほど、少年は大人になっていたのだろうか――――