喜夜小説
□昔書いたB
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月明かりが眩しい夜。
アタシは時計の音を気にしてしまい、どうしても寝付けなかった。
もうこの際、寝るのは諦めよう立ち上がり
散歩に出ることにした。
夜の散歩も悪くないなぁと、暗闇の中を月明かりだけを頼りに歩く。
行く所もなく、なんとなく歩いていると
いつの間にか双曲の丘に来ていた。
「喜助?」
不意に名前を呼ばれ、声のした方に目をやると見慣れた人影が入った
「何をしておるのじゃ?こんな夜更けに」
見上げて来る視線にアタシは軽く微笑み
「寝付けなかったんで散歩してました」
と言いながら彼女の隣に腰を降ろした。
「夜一さんも寝付けなかったんスか?」
名前を出して問いかける
「いや、今宵の月があまりに綺麗だったものでの」
と目を細める彼女に
「夜一さんの方が綺麗ッスよ」
と笑いかけると、呆れた顔をしながら
「おぬし散歩はよいのか?」
と、聞いてきた
「アタシと一緒だと嫌なんスかぁ〜」
業と大袈裟に言い、ふて腐れた顔をすると
「いや、べつに居てもいいが」
本当にどうでもいい様に言われ
「冷たいッスね〜」
まぁそう言うと思ったけど軽く傷ついた