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□prisoner of love -1-
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「・・・んっ・・・は・・・」

「沢村、こっち向け」
「はっ、ちょっと待てって・・・んんっ・・・!」



野球部の、用具倉庫。
昼休み。


短い、逢瀬。



制服が汚れないように、立った姿勢で。
背中から、沢村を抱く。



繋がったままキスがしたくて、沢村の顎を掴み、後ろに向ける。



「ははっ、イイ顔するじゃん」


抵抗するような表情で御幸を見る。

そのくせ、必死で上半身をこちらに捻って、舌を伸ばし、御幸の唇に吸い付いてくる。


(嫌なのかイイのかどっちなんだよ)



「んむっ・・・んんっ・・・御幸ぃ」


(・・・可愛いヤツ)



キスをしながらも、腰の動きは止めてやらない。




快楽で屈服させようとしても、力を失わない目にゾクゾクする。




「御幸・・・もっ、休み時間、終わる・・・っ」
「だってオマエ、まだイッてねーじゃん」
「オマエだって・・!!」
「俺はいーんだよ」


休み時間は後どれくらいだろうか。

このまま、時間が止まればいいのに。
そう思うのは何故なんだろう。



「我慢してんじゃねーよ、先にイケばいいだろ」
「我慢なんてしてな・・・っ」

「後ろだけじゃイケねぇのか。ホラ、前貸せよ」
「ちょっ、あっ・・・駄目っ・・・・・・いっ!!!」



前を弄られて、沢村の後ろが一層きつくなる。

濡れて滑りがよくなっていたのに、また入れたばかりの時のように、御幸を締め付ける。

その形状がハッキリと感じられて、背筋に電流のような快感が走る。



「あっ、んあぁ!!やだ、や、やぁっ」
「あんまりデカイ声出すなって」


そう言いながら、御幸は動きを緩めない。

自分の左手指を、沢村の口に含ませる。

沢村は声をあげる代りに、夢中で御幸の中指を咥えている。



御幸自身を舐められているみたいで、とても不思議な感覚だ。



「沢村、俺・・・イキそう」
「・・・御幸、オレも・・・っ」


沢村の口から離した手を腰に持ち替えて、動きを早める。


「御幸、みゆ、はっ・・・んんっ」
「・・・くっ・・・・・!」
「も、イク・・・いくいく、ぃいっ!!!!」



・・・・・・



遠くで、予鈴が聞こえる。



「今日はオレの勝ちだな!な!」
「・・・何がだよ」

「御幸の方が先にイった」
「・・・オマエに合わせてやってんだよ」
「なんだとー!」

「いいから早く準備しろよ、遅刻するぞ」



涙を浮かべて文句を言いながら、沢村は急いで後始末をする。



「御幸も遅刻するだろ」
「んー、俺はいいや。次の授業面白くねぇし。少しサボってから行く」


オマエみたいに試験もヤバくないしな、と言ってニヤリと笑ってみせた。



本当は、いま教室に戻っても、きっと授業なんて集中できないからだ。



ブツブツ文句を言いながら、身支度を整えた沢村は授業に向かう。


「御幸」
「ん?」

「・・・オレ、オマエの事好きだから」
「そうだな」
「なんかムカツク!」
「何でだよ?」

「何でもだよ!じゃあ後でな!練習でオレの球受けて吠え面かくなよ!」

かかねえよ、と御幸が言い終わる前に、沢村は倉庫を出て行った。



(オマエの事好きだから、か)



沢村は俺の事が好きだから、俺に抱かれている。


―――俺は、どうして沢村を抱いているのだろう。



-To be continued-
 

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