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□君の好きなとこ
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「み・・・御幸はさ、俺の何処がイイわけ」


「は?」
「だから!俺の何処がスキなんだって聞いてんの!」


沢村がなんだかソワソワしてると思ったが、そんな事が聞きたかったらしい。
付き合ってしばらく経つのに、まだそんな事を言っている。


「何?ソレ聞きたい訳?」

「まぁ・・・一応、聞いといてやろうかと思って」

歯切れが悪い。
部活で見せる強気とのギャップが面白くて、ついからかいたくなる。


「一応って程度なら、別に知らなくてもいいよな」
「なんだよ!教えろよ!・・・御幸セイカク悪い。勇気出して聞いたのに」


もういいよ、という感じで沢村が背を向けた。


可愛い。


オレがこんなに構ってやってるんだから、もっと自信を持てばいいのに。
野球はもうちっと謙虚になってもいいかもしれないけどな。


「さーわむら♪」

「・・・」
「拗ねんなよ」
「・・・拗ねてねぇよ」

そっぽを向いている沢村を抱きしめ、耳に唇で触れる。
こちらを振り返ったところに口付けをする。

だが沢村の唇は硬く閉じられていて、キスには応じて来ない。

「なんだよ。機嫌損ねんなよ」
「損ねてねぇよ」
「じゃぁ何で怒ってんの」
「怒ってねぇし」


こんな時、甘い言葉で機嫌を取ったりするのは自分らしくない。
言いたくないなら、言わせる方法。


片手で沢村の頭を押さえ、空いた手で腰をなぞる。

「あっ」
「お前ココ感じるよな」
「うるせっ・・・!」

引こうとする沢村の腰を捕まえて、自分の体に押し付けるようにして固定する。

そのまままた長い口付け。
沢村はまだ抵抗して唇を結んでいたが、呼吸が続かないのと腰に与えられる快感で息を漏らしてしまう。
その隙間を縫って、口の中に舌を侵入させる。

苦しそうに抵抗していた沢村だが、しばらくすると体の力が抜けてきた。
従順に口中の快感を受け入れ、時々こちらの下唇を甘噛みしてくる。
表情がとろんとしてくる。

余所では決してみられない表情。
素直じゃない沢村をそういう顔にさせた時、何とも言えない達成感のような征服感のようなものを感じる。

その感覚が好きだ。


キスを繰り返しながら、口の端で言う。
「何でそんな事聞く?不安か?」

沢村の呼吸が荒い。

「・・・ん、別に・・・」
「言えよ、沢村」
「・・・はっ・・・」


沢村を押し倒し、組み敷く。

「御幸・・・ヤメろよ・・ッ」
「やめねぇよ、言うまで」


首筋に噛み付きながら沢村のスウェットを脱がし、後ろに触れる。
そこはまだ硬い。
勃ち上がって来た前を扱く。
腰を捩って逃げようとするが許さない。

「はっ・・・やぁっ・・・」

沢村がだんだんと甘い声を漏らすが、それをまた唇で塞ぐ。
息苦しいのも手伝ってか切羽詰まったような表情をしている、執拗にキスを繰り返す。


「・・・くるしっ・・・ふぅっ、御幸、しつけェ・・・!」


しつこいと言われると、余計嗜虐心を煽られる。



前を扱かれる快感と抵抗が弱くなって来た頃合を見計らって、後ろに指を入れる。
沢村の腰がびくんと跳ねるが、片手で抱きしめながら固定する。

孔はキツいが、いつもよりは柔らかいようだ。
指を2本に増やして奥に押込み、バラバラに動かした。

「あっあっ・・・ん、そこっヤダ・・・!」
「ココか・・・?」

沢村の一番イイところを捉えたようだ。
何度も抜き差しをする指が、そこを掠める。
高速で動かしながら、前の動きも止めない。
先端から滴り始めているものを全体に塗りこむように、捏ねるように上下する。


「ヤダ御幸、もぅ・・・いっ」
「早えぇよ。駄目だって、まだイかせねぇし」

嬌声が一段と高くなると、根元を指で締める。

「ああっ・・・!!もう駄目だから、ホントにっ・・・やめっ
・・・!」

耐えられない程の快感がこみ上げているのか悔しいのか、沢村の目から涙が零れている。
少し可哀想になるが目的はそれだ。
一層激しくしながら問う。

「やめて欲しかったら言えよ」
「・・・なっ、何・・・」
「なんで不安そうな顔すんだよ。俺のキモチが信用できねぇの」
「・・・はっ、やっ・・・あ」
「何が心配なんだよ、ホラ言えよ」
「・・・アッ、御幸、あぁっ!もう、だ、駄目っ・・・イかせてっ・・・」
「言えって」
「わっ分かった、けど・・・ッもっ、今―――何も考えられねぇっ・・・!!!!」
沢村は首をぶんぶんを振って快感に耐えている。


それもそうか。
沢村の顔は涙と唾液でぐしゃぐしゃで。

「しょーがねぇな」

指を抜き、沢村の足をあげる。
両方の太腿を自分で抱えさせる。
体が柔らかい。
濡れそぼって色づいたそこがよく見える。

先ほどから痛いくらい勃ちあがっていたモノをそこにあてがうと、一気に押し進めた。
容赦なく打ち付ける。

「あぁ・・・・・っ!」
「気持ちイイか」

沢村がコクコクを頷いてみせる。

「御幸、ダメだ、オレすぐイきそう」
「じゃぁさっきの言ってみな?」

そう言って動きを止める。オレの質問に答えたら、イかせてやるから。

「・・・はっ・・・だって・・・」

動きを止められてむずむずするのか、困ったような顔をしながら微妙に腰をくねらせている。
沢村が涙を浮かべたまま、喋りだす。
恥ずかしいのかこちらと目を合わせはしないが、潤んだ瞳に凄絶な色気を感じる。

「・・・チームの皆は凄い人ばかりで・・・降谷だって。クリス先輩だって。なのに、どうして御幸はオレなの」


愛しい。
我慢できなくて、ゆるゆると腰を動かす。


「何でそんな事聞くの?オマエ自信ないの?」
「あっ、ん・・・じっ自信は、無い」

「野球の事だとやたら自信あんのにな。根拠もねぇのに」


予測が付かない行動をするくせに、素直で真っ直ぐで。
いや、素直だからオレには予測出来ないのかもしれない。

愛されてるとか、当人にはそういうのってわからないもんなんだな。

沢村。
オマエは、不安になる必要も嫉妬する必要もない。



覆い被さって深い口付けをすると、本格的に動きを再開する。

「・・・ちょっ・・・や、あっ、言ったんだから答えろよッ・・・・!」
「はは、後でな。オレもそろそろ限界だし」
「――――ずっ、ずりぃ!あっ・・・ぁあああッ・・・・」



・・・・・・・・・



「素直な所。予測がつかない所。それから、笑った顔」
「御幸・・・」
「あといじめられて臍曲げてる顔とか、監督に怒られて泣いてる顔とか、なんかやらかして困ってる顔とか」
「後半の要らねぇー!」
「いや〜そういう顔も見たいって、恋だよなぁ♪」
「っていうか、変態っぽい!ドS!」

ブーブー言いながら、沢村はまんざらでも無さそうだ。顔を赤くしている。


「じゃぁ沢村、お前はオレの何処がイイわけ」
「んー、特に無ぇ!」


「・・・嫌いな所は?」
「ワガママな所!自己中な所!あとなんか偉そうっていうかムカツク所。あと眼鏡がエロい。色々と無駄にエロい。あと・・・」

即答でそんなに一杯挙げるな。ちょっと傷付く。
でも。


そんだけ文句があるのに、それでもスキだって事は―――。


「オレって愛されてるな〜」
「聞いてねぇー!!!!!」


大笑いしながら、沢村をギュッと抱きしめる。
「何だよ!全然誉めてねぇし!このエロ眼鏡!」


沢村。
お前は、オレに興味を持たれなくなる事を恐れているのかもしれない。
でも大丈夫。
お前が思っている程、それは曖昧なものじゃない。



お前と初めて会った時からずっと、オレはお前に惹かれているんだから。



-END-
 

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