□私立春川学園!
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「あれぇ?バス停どこかなあ?」
「あー・・あれじゃね、ほらあの向かいの道路の。」
「えーでも地図には違う所にマークしてるよ?」
「んじゃあ違ぇのかも。」
「どうしよお・・・学校に遅刻しちゃうね。」
桜散る春。
二人の人物が駅前で地図が描いているらしい紙を眺めて困っていた。
せかせかと足を動かしていた周りの人間も、
つい足を止めて眺めてしまう。
うんうん唸っている背の低い方はあんまりにも可愛かったのだ。
風になびく黒い髪、くりくりとした大きい目、
ふっくらとした桃色の唇・・・
まさに美少女。
声をかけて助け舟を出したいっ
あわよくばお礼なんて感じでごにょごにょっ
そう思いつつ、足を止め遠めに眺めながらも実行には移さない。
なぜならば・・・
「まあ、駅員に聞きゃあ間違いねえわな、ほら行くぞ。」
隣の青年の方はあまりにも目つきが悪かったのだ。
清潔感のある短髪にキリリとした顔。
しかし目つきが悪い。凄く悪い。
あんなのに声を掛ければ殺されるのではないか・・。
ギャラリー達の心は一つになった。

「あ、待ってぇ!」
美少女と青年はそうしている間に駅員を探しに行ってしまった。

ああ空が青い・・・・止めた足を再び動かし始めたギャラリー達であった。







「すんませーん、つかぬ事をお聞きしますが、」
「春川学園行きのバス停はどこですかぁ?」
さっき出てきた駅を逆流して駅員を探す。
と言っても改札に立っているのだから
探すというのは違うのかもしれない。
入ってすぐ、目に付いた駅員に声を掛ける。
「ん?君たち春川の生徒?ああ新入生なんだね、えーっとバス停は・・・ほらあそこだよ。」
親切に屈んで、まあ弟に合わせてだけど指差して教えてくれた。
お礼を言って改札から離れる。
指差した方に目を向けると、
「お、やっぱりあれじゃんか海。」
「ああ、ほんとだ!翠ちゃんごめんね、海の勘違い。」
先ほど俺が言った向かいのバス停だったようだ。
申し訳なさそうに謝る海に、別に気にしてないと言おうとしている内にバスが見えた。
「おい、来た!走るぞ!。」
「きゃ、翠ちゃん速いよぉ!」
海の手を引っ張って道路を渡る。
痛いだの速いだの聞こえてきて、
そういえばこいつ足遅いんだったなーなんて今更思い出した。

バスがつくギリギリに渡り終えて、チラリと
時刻表を見ると・・
「何だよ・・・一時間に一本て・・・。」
田舎じゃねえんだから。
「翠ちゃんの整理券もとったよお!」
「・・・おう。」
席ここね!
と今度は逆に引っ張られて妙に機嫌の良くなった海の隣に腰掛けた。

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