□私立春川学園!
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翠ちゃんと一緒に乗ったバスは思ってた程込んでなくって、
二人並んで座れて嬉しいなーなんて。
海は翠ちゃんの事大好きだから、それだけでも一日幸せなんだぁ。
小さな幸せをかみ締めながらガタゴトとバスに揺られて30分くらいかな、
窓の外に目を向けていたら見えてきた海たちの通う学校・・・がっこ、う?
「「え?お城?」」
あ、翠ちゃんとハモった!
じゃなくって、何と海たちの通う所はお城だったみたいです。
大きくって白くって門は高そうで塀も高そうで綺麗で。
今乗ってるバスも実はかぼちゃの馬車がトランスフォームしたやつなのかな?
じゃあ海はシンデレラ?
そして王子様は翠ちゃん?
カッコいいんだろうなー翠ちゃんの王子様・・・。
ほやん、と想像の世界に入ってたら
いつの間にか立っていた翠ちゃんに袖を引かれて現実に戻った。
「着いたぞー海。」
くいってもう一回引かれて立ち上がる。
「うん!」
それから海は翠ちゃんと手を繋いでバスから降りたのでした。





門も塀も、バス内から見た通り凄く高くて、
思わずほぅ、と息を吐いた。
「本物のお城みたいだね。」
と海が言うと、
「じゃあ海はお姫様だな、お手をどうぞ?ってか?」
って返してくれた。やっぱり翠ちゃんは海の王子様です。
にこにこ笑ってきゅぅって翠ちゃんの手を握りなおして、
新入生はこちらでーす、とメガホンを掲げている人のそばに向かった。
「あ、紫藤様ですね、クラスはC組になります、
荷物は既に寮に送っていますのでご安心を・・・ではあちらの列にどうぞ。」
と丁寧に言われて今度は指差されたほうへ足をむける。
これまた大きな体育館に入って、
ざわざわ落ち着きのない群衆に翠ちゃんと並んで座り、入学式を待つことになった。
その間もずっと手を繋いでたんだけど、
途端にやんわりと翠ちゃんが手を離した。
え、何でと目線を向ける。だって離したくなかったんだもん。
すると翠ちゃんは必要最低限のものを入れた小さい鞄をごそごそしだした。
暫くごそごそしてから手に持ったものは・・・
「ヨーグルト?」
「おう。」
そうヨーグルト。
しかもブル○リアの。
いっつも突然分からないことをするけど、
今日も海には翠ちゃんの全てが分からないのでした。
双子なのになー。悔しい!
「それどうするの?食べるの?ここで。」
翠ちゃんのことだから唯食べるっていう選択肢の確立は小さいけど、
一応聞いてみることにした。
そしたらニヤァっと今日一番の楽しそうな顔をして、
「ぶっ掛けるのだよ海斗くん!」
と言いながら蓋を開けた。
結構勢いよく開けたもんだから、翠ちゃんの手にヨーグルトが少し飛び散ってた。
「お、掛かっちった!」
もったいなっ、とべろリと舐める仕草にどきどきしちゃったのは秘密ね!
そんなどきどきな胸を押さえながら
「だ、誰に?」
と聞くと、さらりと当たり前だと言う様に
「美形であろうと推測できる会長様に。」
と今度は爽やかに笑ったのでした。
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