□私立春川学園!
1ページ/1ページ

翠ちゃんがクラス落ちしてしまった。
同じ学園内にいるのに離れるなんて!
海は耐えられないよお!
「と言ってもまだ一日目じゃんか。」
「海は24時間365日ずっと一緒がいいの!」
そう!
たった一日されど一日!
海には苦痛なんだから!
今朝はC組まで送ってくれて、
その後は昼休み以外会ってなかったし。
なんで校舎ごと離れてるんだろお・・・。
勿論帰りは一緒だったけど!
「翠ちゃんは海と離れててもいいの・・・?」
ぐすん、と鼻を鳴らして翠ちゃんを見る。
困った顔をしたけど、段々寂しそうになって
「そんなわけ、無いぞー、超寂しい・・・。」
と言ってぎゅうぅってしてくれた。
ああ翠ちゃんの香りだあ。
なんかやっぱり耐えられないなぁ・・・
3年間ずっとクラスが別なんて・・。
そうだ!
「翠ちゃんがCに戻れないなら、海がFに行けばいいんだね!」
「・・・・・えー。」
ということで早速!
「海、風紀委員長さんのとこに行って来る!」
「ちょ、海!?」
「あ、翠ちゃんは先に休んでて!疲れてるでしょ?じゃあ行って来るね!」
思い立ったら吉日って誰かが言ってたもん!
急いで靴を履いて玄関を出る。
後から「海ぃぃ!」って聞こえたけど、
振り返らないで手を振っとく。
ごめんね翠ちゃん!
海は今だけ自立します!





「海をFに入れてください!」
ぺこん、と頭を下げてくる美少女・・・
まあここ男子校だし、美少年なんだけどなー。
そんな美少年、紫藤海斗は唐突に風紀室にやって来た。
あの紫藤翠斗の弟らしいが・・・
「何でまた・・・・。」
「海は翠ちゃんと一緒がいいんです!」
「でもお前何もしてないじゃん?」
「してないけど、翠ちゃんと一緒がいいんです!」
「我侭はダメだぞー・・・。」
「ううう・・・だって。」
そういって大きな目からぽろぽろと涙を流しだす。
ああもう!
泣かれると面倒なんだよ!
ちょと厳しいけども、
「泣いてもダメだ!」
と少し強く言う。
すると、
「じゃあ・・・・連帯責任てことでいいです。」
「・・・は?」
「海の翠ちゃんへの気持ちが我侭になるなら、だったら・・・
双子ってことで連帯責任をとらせてください。」
「だが、」
「だって海は一緒にあの場にいたのに翠ちゃんを止めなかったんです!
海なら止められたかもしれないのに、それをしなかった海は悪い子です!
連帯責任をとらせてください!」
なんというか・・・説得力が・・・。
涙を流しながら美人に言われるとなあ・・・
「あーああああああ!もう!」
「っ、」
「分かった!分かったわ糞餓鬼め!でも俺は知らんからな!自分で理事長に言えよ!?俺は知らん!」
俺は知らん俺は知らん俺は知らん!
責任はあっち責任はあっち!
そう暗示をかけて席を立つ。
椅子が倒れたが気にしてられるか!
「ついて来い!」
「え?え?」
「理事長室まで連れてってやるから!」
「!」
困惑していた顔が一気に明るくなていく。
ああ糞、可愛い!
ふん、と鼻を鳴らしてずかずかと大股で歩く。
もう小走りに近いかもしれない。
後から小さく足音が聞こえてきて、ちょん、と引かれ目線をやると、
「あ、ありがとうございます!あと、」
泣いてごめんなさい、とはにかみながら見上げてきた。
・・・これ女だったら惚れてるな。
ちくしょう!
自分のいい所有効活用しよって!
何だか虚しいので小走りを止めて走り出す。
きゃっ、と可愛らしい声が聞こえてきたが無視をすることにした。






・・・・・・まあ結局歩幅をあわせてしまう俺がいるわけだがな。
















「翠ちゃんただいま!」
「あ、海!心配したんだからな!」
「えへへ、ごめんね?」
「たく・・・いいよ・・・で?」
「うん!海は明日からF組です!」
「そっか・・・後で謝っとこう(ぼそ」
「なあに?」
「何でもねえ、嬉しいなって言ったのー。」
「ホント?嬉しい?翠ちゃん大好き!」
「あーはいはい、俺も大好きぃ。」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ